第六話 依頼
ケイトのステータス
体力 満タン
使える魔法 ファイアLv2(残り5回)
状態異常 特になし
所持金 300オル(宿泊代込み)
装備品 皮の服(上) 魔法のジャージ(下)
今日はさすがに寝た。しんどいし。
「ふぁ~ぁ。おはよ~ジルヤ君。」
「やっと起きたか・・・」
今やっと、リアが目を覚ました。もう日はとっくに出てて、町の人々は仕事をしている。
「さて、リアお前はこれからどうする?」
「ふにゃ?」
なんだよ「ふにゃ?」って、めちゃくちゃ寝ぼけてんじゃん。
「いや・・・もう医者に動いてもいいって言われてるからさ。」
「じゃあ、ジルヤ君と一緒に行動する~」
「・・・ゑ?」
はい?・・・いやいやいや!だめだ!
「ジルヤ!断れ!僕たちと一緒に行動してるとリアが危険だ!」
「(そ、そうだな)リア、悪いが・・・」
「ダメ?」(涙目)
やめろ!そんな顔で見つめられちゃ断るに断りきれない!
「・・・いや、いいぞ。」
「ほんと!?やった~!!」
ああ・・・。まあでもこれはしょうがないか。あんな顔されたらなあ・・・。
「じゃあ、とりあえず朝ご飯、食べに行くか。」
「うん!」
僕とリアは部屋を出て、食堂へ向かった。向かう途中ベティさんにあった。
「あら、ジルヤ、おはよう。」
「おはようございます。」
「おはようございます!え~と」
「あらあら、私はベティさ。よろしくね!」
「私、リア!よろしく!」
そういえば昨日敬語使ってたけど今日は使わないのかなあ。などと思いつつ、二人(正確には三人)は食堂へ向かった。食堂は人こそ少ないものの、けっこうにぎやかだった。今日の朝食もシチューだったが、一昨日とはまた違った味がした。その時、後ろから、声をかけてきた。
「おうジルヤ!朝っぱらからかわいこちゃんとデートか?」
「ブバッッ!」
ジルヤがシチューを吹き出した。うわぁ、ばっちい。
「ちょっ、ちょっと!やめてくださいよ、フェンリルさん!」
「はっはっは。冗談だよ!」
「ったく・・・。」
フェンリルさんが去ったあとジルヤは再び、シチューを飲み始めた。
「私、ジルヤ君とデートしたいな。」
「ブバッッ!」
「うっふっふ~冗談だよ~」
あ~あ、また吹いちゃった。後でベティさんに怒られないかな~?まあいいか。どうでも。
食事を終え、(あの後こっぴどく叱られました。)今、僕たちは、なんの依頼をしようかと、掲示板の前に立っている。
「さて、どれにしようか。」
結構簡単そうな依頼を探した。(途中、ケイトの指名手配が見えたが気にしない。)すると、リアが声を上げた。
「何してるの?」
「ああ、依頼を探してんだ。お金を集めたくてな。」
「フ~ン。」
「ああ、これとかよさそうだな。なになに・・・?「おらの畑に出現する5体のラグンを倒してくれ!」かあ。(ラグンってなんだ?ケイト)」
「ラグンってのはまあ馬に角が生えたやつ(ユニコーン)だと思ってくれ。性格は普段おとなしいんだが、戦いになると獰猛になり、体当たり以外にサンダーなどの魔法を使ってくる。」
「報酬は500オルか・・・よし、これにしよう。ベティさ~ん。」
ベティさんに声をかけた。
「依頼かね?」
「はい。」
ジルヤはベティさんに依頼の紙を渡した。
「ええと、依頼主は農民のジラールさん。場所はこの町の南のほうにある大きな畑だってさ。それじゃあいっといで!」
「はい、行ってきます。」
そして僕たちはリアと一緒に依頼をしに行った。
道中、こんな会話をした。
「そういえばさ、リアって戦えるのか?」
「う~ん、ジルヤ君をサポートすることならできるよ!」
「ああ、リアは僧侶だったな。」
今回、僕は出れないな。僕が戦いたかったけどばれるし、しょうがないね。
そして目的地にあっという間についた。
「お~おまえさんたちか、ラグンを倒してくれるっていう人は。おらはジラール。よろしくな、坊ちゃん、嬢ちゃん。」
「で、ラグンってのはいつ出るんすか?」
「もうそろそろ出るはずだが・・・」
「ヒィィィィィィン!!」
どうやら来たようだ。だけどさすがに今起こっている状況は予想外だった。
「!!まさか5体同時に来るとは!!」
「がんばってくれ~」
「ジルヤ君!がんばって!」
っておい!リア!君はたたかわないのかよ!まあでも僕も似たようなものか。
「ジラールさん、ナイフありますか?」
「お、おう。あるがどうした?」
「貸してくれませんか?」
「いいぞ。ほら。」
ジルヤは果物ナイフを片手にラグン達に向かっていった。そして、ジルヤは、一匹のラグンを思いきり切りつけた。ナイフは深々と刺さり、そのラグンはなすすべもなく死んでしまった。
「!!ブヒィィィィィィ!!」
仲間を殺されたラグンは当然怒り、4匹が同時に体当たりしてきた。角でジルヤを殺す気だ。
「おせえよ。」
一番右にいたラグンの角をつかみ、顔に向かって思い切りナイフを切りつけ、ラグンの上にのった。そして、切り付けたラグンを蹴り飛ばしながら、つづけさまに2匹のラグンの首を落とした。ここまでは順調だった。しかし、ジルヤは着地した時に、足をくじいてしまった。最後に残ったラグンはジルヤに向かってサンダーを落とした。
「しっ、しまった!」
ジルヤにサンダーが当たりそうになった。だがしかし、サンダーはジルヤの頭上50センチぐらいのところで消滅した。
「「マジックシールド」。ジルヤ君、大丈夫?」
「・・・リア?」
「「リカバリー」」
すると、足をくじいた痛みがみるみるおさまってきた。
「じゃあ、がんばって。」
「サンキュー、リア。」
そして残りの一匹にもナイフを切りつけ、ラグンは全滅。そして依頼完了だ。
「ありがとな!これが報酬の500オルだ!」
「ありがたくいただきます。」
ジルヤはジラールから500オルの入った袋をもらった。
「それと、その果物ナイフ持ってってくれないかなあ。血だらけだし。」
「わかりました。遠慮なく使わせてもらいます。」
「さて、早く帰ろ!ジルヤ君!」
「ああ、そうだな。」
「じゃ~な~!あんがとな~!」
ジラールさんと別れ、僕たちは宿へ戻った。
「さてと、リア、これはお前の分だ。」
ジルヤはリアに250オル渡そうとしたが、リアは首を横に振った。
「私、いらな~い。」
「だけど、依頼が成功したのは半分リアのおかげじゃないか。もらう権利は十分にあるんだぜ?」
たしかにそうだ。あの時、リアに助けてもらってなかったら自分がやられるところだった。
「いらない。だけど私の分もジルヤ君がおごってね?」
「・・・金があったらな。」
ああ、そうきたか。もう僕たちといる気満々じゃん。
「じゃあ、俺の分の杖と、リアの分の杖を買わなきゃな。」
「うん!早くいこ!」
僕たちは武器屋へ向かった。
「はい、らっしゃい!」
武器屋には様々な武器が置いてあった。もちろん、杖も置いてあった。
「そういえば、リアは短い杖のほうがいいんじゃないか?」
「う~ん、じゃあそうする!」
「俺は長いほうの杖だな。350オルまでなら買っていいぞ。」
「うん!わかった!」
そういうとリアは短い杖の売っているエリアへ。
「さてと、これなんてどうだ?ケイト。」
「「魔力の杖」(魔法使いが使うと魔法の威力が上昇する杖)か、値段は?」
「350オルだな。」
「う~ん、まあ買う方向で。リアが安いのを持って来れば・・・」
「ジルヤく~ん。決まったよ~。」
そういってリアが持ってきたのは「知力の杖」(僧侶が使うと回復能力が上昇する杖)だった。
「おう、決まったか。いくらだ?」
「350オル!!」
「・・・・・。」
・・・・・う、う~んまあいいか(汗)。もう一回お金貯めればいいことだし。
「うん。買おう。ジルヤ。そんでまたお金を貯めよう。」
「(了解)すいませ~ん。これくださ~い。」
「あいよ、700オルだ。」
「どうぞ。」
「よし!まいどあり!」
そして僕たちは店を出た。空を見上げるともう赤く染まっていた。
僕たちは自分たちの部屋に戻っていた。もうご飯も食べ終わり、お風呂にも入ったのであとは寝るだけだ。
「・・・ねえ、ジルヤ君。」
「なんだ?リア?」
リアがベッドからこっちを見ていた。(ベティさんに頼んでベッドを増やしてもらったので今はベッドが二つある。)その表情は真剣そのものだった。
「あのね、聞きたいことがあるんだけどいい?」
「いいぜ。」
なんだろう?全く想像つかない。
「ジルヤ君って魔法使いなのになんで今回魔法を使わなかったの?あの戦いぶりは明らかに剣士だったし、魔法使いなら、最低1回は魔法を使うからね。」
「・・・・・。」
「それで、私、何かおかしいと思うの。ジルヤ君、私にすべて話してくれる?」
だめだ。これ以上嘘を貫き通すことなんてできない。僕たちはリアにすべて話すことを決心した。
「・・・実はな・・・」
僕たちは話し始めた。僕たちの身に起こったことを。
やばい。あと一週間しかないのに宿題終わりそうにない。