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僕らの旅路  作者: ライン
一章 記憶の旅路
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第五話 記憶の失った少女

ステータスの職業ってとこは、次から消しておきます。

ケイトのステータス 

職業 魔法使い 

体力 満タンだが若干寝不足

使える魔法の回数 ファイアLv2で残り5回

状態異常 特になし

所持金 300オル(宿泊代込み)

装備品 皮の服(上) 魔法のジャージ(下)

使える魔法 ファイアLv2

今の状態?うん。鼻血が出ている。


もう明け方だ。ん?なぜ、鼻血が出ているかって?事の起こりは数分前。僕は眠っている少女をずっと寝ずに、看護していたんだ。そのおかげで今はとっても眠い。でもジルヤがベティさんに

「こいつが俺が見ますんで。」

とか言っちゃったからな~。ま、自分でもそうしようと思っていたから別にいいんだけどね。そんなこんなで少女を見ていたら、

「う・・・うう・・・。」

となんか少女が声をあげたんだ。どうしたんだろうと思ってのぞいてみるといきなり、僕の顔に左手が飛んできてこのざまだ。

「・・・くっそ、とまんねぇ。」

とりあえず、ジルヤは手で鼻を押さえながら、窓の方向へ。


数時間たって、ジルヤは窓の外に広がっている、パストラルの景色を眺めていた(鼻血はさすがに止まっている)。外にはまだ誰もいなくて、かなり静かだった。

「・・・静かだなあ。」

確かに静かだ。聞こえるのは風の音と、小鳥たちのさえずりぐらい。僕の住んでた村の朝方もこんな感じだったなあと思い出にふけっていると、

「う・・・う~ん。」

と、少女の声が聞こえてきたので振り向いた。少女はどうやら目を覚ましたようだ。

「おう、起きたか。」

「・・・ここは、どこ?」

少女が体を起こした。

「あっ!痛っ!」

「無理すんな。今日一日は安静だって医者に言われているんだぞ。」

少女は体をゆっくりとベッドに倒し、聞いてきた。

「あなたは・・・?」

「俺はジルヤ。びっくりしたぜ。お前、森に倒れていたんだからな。どうしてあんなところにいたんだ?」

「・・・逃げてたの・・・」

「逃げてた?誰から?」

彼女は首をゆっくり横に振っていった。

「わからない・・・。ただ覚えているのは、「何か」から逃げていたこと。」

「ふ~ん。じゃあさ、あんた、名前は覚えてるか?」

「ええ。私の名前は北条リア(ほうじょう りあ)。職業はまだなり始めて間もないけど僧侶よ。よろしくね。ジルヤさん。」

「僧侶か・・・。よろしくな。」

そのとき、ドンドンっとドアをノックする音が聞こえた。

「はい、なんすか?」

「私さ!入ってもいいかい?」

「ベティさんか、どうぞ。」

がちゃっとドアを開け、ベティさんが入ってきた。手にはおかゆの入ったお茶碗を持っていた。

「あら、起きたんだね。おかゆ、ここに置いとくから!」

「はい、ありがとうございます。」

ジルヤが答えると、ベティさんは急がしいからだろうか、すぐに部屋を出て行った。

「ほらよ。あんたの飯だ。口開けろ。」

「で・・・でも。」

「素直にいただいておけ。あの人の料理残すとめっちゃ怖いから(フェンリル談)。」

「じ、じゃあいただきます。」

リアと名乗る少女は素直に口を開け、ジルヤはおかゆを食べさせた。

「あ・・・すごくおいしい。」

「だろ?俺もあの人の手料理は大好物さ。」

リアはあっという間におかゆをたいらげた。

「・・・ありがとうございます。」

いきなり、リアが話しかけてきた。

「ん?」

「いえ、あなたが私を助けてくれたんですか?」

「ああ、そうさ。」

「そうですか。助けてくれて本当にありがとうございます。」

「いや、いいってことよ。」

「あの、あなたは何をされているのですか?職業とか。」

「あ、え~と、俺は魔法使いだ。」

「魔法使いですか・・・・・・。」

リアが突然無口になってしまった。

「どうしたんだ?」

「いえ・・・私、なぜか「魔法使い」って言葉に恐怖を覚えるんですよね。覚えてないのに、おかしいですよね。アハハ・・・。」

うわっ結構傷つく。だけどなんで魔法使いって言葉を怖がる必要があるんだろう?・・・ジルヤ、ざまあみろとか思わないで。聞こえてるから。

「それはすまねえ。」

ジルヤが言うと。またベティさんが入ってきた。

「お茶碗取りに来たわ。」

「そうですか、どうぞ。」

「ああ、それと、今日一日、その子を見てもらえる?できれば私がやっておきたいんだけど、仕事で手がいっぱいでね。」

「わかりました。」

「それじゃあ、よろしくたのむよ!」

ベティさんはあわただしく部屋を出て行った。部屋の中は再び、ジルヤとリアの二人になってしまった。

「ねえ、そういえば、ここはどこ?」

「ああ、そういえばまだ言ってなかったな。ここはパストラルっていうちっさな街だ。俺もちょっと逃げてて、ここについちまったんだ。」

おい!一言多いぞ!ジルヤ!

「え・・・?誰からですか?」

「ああ、え~と、(まずい!どうしよう!ケイト!)」

「ジルヤが言ったんだから自分でうまく考えて!」

「・・・?」

「ええと、ちょっと衛兵に・・・」

アンポンタンか!!!!!まったくごまかしてねーじゃん!!!!!あああああ~~~!!!!!や~~~ば~~~い~~~!!!!!

「え、衛兵?何したんですか?」

ほらあ!めっちゃやばい状況になってんじゃん!ジルヤ!なんか言って!

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

てめぇ!!無言を貫き通してんじゃねーよ!!!なんか言えよ!!!

「そうですよね・・・あまりいやなこと聞かれたくありませんよね。すみませんでした。」

ってええ!?終わっちゃったよ!?結果オーライかな。でもこの子には真実を教える時が来るかもしれないな。と思いつつ、ジルヤの自滅トークは幕を閉じたのだった。

(ああ、やっちゃった・・・)

このバカは説教確定っと。


「・・・つらっかったね。」

「ま、まあな。おまえがきにすることじゃねえぞ。」

とりあえず、ぼくは、ジルヤに僕が考えたストーリーを、リアに伝えさせてもらった。これは僕が考えたストーリーだ。

ある日、僕はいきなり、衛兵につかまった。もちろん、勘違いだ。でも衛兵たちは僕を犯人だと決めつける。何日も訊問されたうえ、ついには死刑となってしまった。死刑前日の夜、僕は死刑が怖くなって逃げ出した。そして何日もかけ、衛兵に追われながらもやっと着いたのがここ、パストラルだった。とまあこんな感じか。ったく、誰のせいだよ、こんな長い言い訳を考えなきゃいけなくなったのは。(ほんの少し、本当のことも入ってるが)そのほかにもいろんなことを話した。


「あっ・・・夕焼け・・・。きれいだな・・・。」

リアがそういったので振り向くと、確かに、日が沈みそうになっていた。

「おっと、もうそんな時間か。」

「ジルヤ君」

「なんだ?」

「こんなに人と長く話せたの初めてだと思う。悲しい話もあったけど、聞いてて楽しかったよ。」

「そうか?じゃあベティさんにおかゆ、作ってもらってくる。動いちゃだめだぞ。」

「うん、ありがとう。ジルヤ君。」

リアは笑っていた。リアの笑顔はすごくかわいかった。

「ベティ~さ~ん。おかゆ作ってくれませんか?」

「了解!上で待ってな!」

僕たちが上に戻ると、リアは眠っていた。

(なんだ、もう眠っちまったのか・・・)

そこへベティさんが入ってきた。

「ベティさん。もう寝ちまったみたいなんで、申し訳ないですけどおかゆ、いらないです。」(小声)

「あら、そうかい。それじゃあしょうがないねえ。あんたもおなか減ってるだろ?食堂に食べにおいで。」(小声)

「はい、あとで行きます。」(小声)

ベティさんは静かにドアを閉め出て行った。ジルヤはリアに一言かけてから部屋を出て行った。

「おやすみ、リア。」


そして、ジルヤがケイトに後日長~~~~~~~~いお説教をくらったのはここだけの話。

ジルヤがとんでもなく正直者ということは気にせずに行きましょう。

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