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魔王を倒した勇者は実は異世界移民――勇者のアクターだった‼️


第一話エピローグ

世界は、平和を取り戻した。

魔王を討ち果たしたのは――

伝説の勇者一行。

勇者ジーニアス。

賢者クリス。

魔法使いアテネ。

戦士アレク。

彼らは伝説の装備を揃え、壮絶な死闘の末に魔王を打ち倒した。

その力は、まさに規格外。

後に人々は、こう語る。

――史上最強の勇者だった、と。

だが。

その真実を知る者は、ほとんどいない。

もし知られれば、世界の均衡すら崩れるだろう。

魔王を倒したのは――

名もなき“異世界難民”の男だった。

「強い……が、惜しいな。勇者」

魔王が、不敵に笑う。

指先をゆっくりと持ち上げ、勇者を指した。

「みんな、最大出力だ!」

ジーニアスの号令。

勇者一行が、一斉に魔力を解放する。

光が弾け、魔法が重なり――

魔王の姿が煙に飲み込まれた。

「やったか……?」

その瞬間だった。

「――甘い」

煙の奥から現れたのは、

“真の姿”の魔王。

次の瞬間、衝撃が走る。

勇者たちは、まとめて吹き飛ばされた。

「くっ……!」

魔王の視線が、アテネとクリスを捉える。

「ここまでか……」

「短い人生だったな……」

放たれる、圧倒的な魔法。

回避は――不可能。

その時。

「……あぶなかったな」

爆風の中心。

そこにいたのは――

見知らぬ男だった。

片手で、魔法を受け止めている。

肩には、ライムグリーンのスライム。

体には、魔物の素材で作られた装備。

「大丈夫か?」

アテネとクリスが、言葉を失う。

「モチ、あれが魔王か?」

肩のスライムが、ぷるりと揺れる。

「うん。魔力、バカみたいにあるね。でも――」

少し楽しそうに。

「ヒカルなら大丈夫でしょ?」

「無理だ!やめろ!」

ジーニアスの叫び。

魔王が笑う。

「魔物使いに、俺が倒せるかな?」

次の瞬間。

魔王が斬りかかる。

キィン――!!

ヒカルは、小太刀二本で受け止めた。

「……は?」

魔王が、目を見開く。

「そんな……ゴブリンの刀で……!」

ヒカルは軽く手首を返す。

弾く。

「ゴブリン奥義――《略奪》」

次の瞬間。

魔王の剣が、ヒカルの手にあった。

「なっ……!?」

「鬼人奥義――《鬼神》」

ヒカルの身体が、赤く染まる。

一瞬で距離を詰め――

三太刀。

だが。

「効かぬな」

魔王は笑った。

「そうかい」

ヒカルは、淡々と呟く。

右手を空間に差し入れる。

――アイテムボックス。

取り出したのは、骨でできた刀。

「そんなもので――」

魔王が言い終わる前に。

ヒカルはそれを、しまった。

「……は?」

次の瞬間。

ズドン――。

魔王の身体が、真っ二つに裂けた。

静寂。

「よし」

ヒカルが軽く息を吐く。

「これで平和だな」

「……嘘だろ」

ジーニアスが呟く。

「じゃ、俺帰るから」

ヒカルは背を向ける。

「後は勝手にやってくれ。俺のことは――」

軽く振り返り、笑う。

「他言無用で。面倒なのは嫌いなんだ」

「お名前は……?職業は……?」

クリスが震える声で問う。

「魔物使い」

ヒカルは肩をすくめる。

「今回は、君たちが倒したことにしていい」

そのまま歩き出す。

その時。

『ヒカルさん。これは上手くすれば、お金になります』

頭の中に響く声。

「ナビさん、なんでだ?」

『勇者は王になります。つまり――資金です』

ヒカルは少し考え、踵を返す。

「手柄は全部やる」

勇者一行に向かって言う。

「その代わり、条件がある」

「……なんだ?」

「村に金を回せ。毎月な」

「……それだけでいいのか?」

「少ないか?」

ジーニアスは、静かに頷いた。

「……分かった」

ヒカルは、満足そうに笑う。

「じゃあな」

そのまま、去っていった。

魔王の消滅後。

一本の剣が、残された。

それは、勇者の戦利品となり。

やがて――

勇者は王となった。

そして語られる。

「勇者は、魔王の攻撃を受け流し――」

「たった一太刀で、魔王を葬った」

伝説は、美しく歪められた。

だが、真実は違う。

その場にいた者だけが知っている。

世界を救ったのは――

名もなき魔物使いだった。

――第一話エピローグ 完

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