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おんな拳銃無頼  作者: ガンアクションだいすき
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白い旗(ハンカチ)


 ゆく手を塞ぐようにして立っている人影に、オレリーはポケットから白いハンカチを取り出すと、それを掲げてみせた。『白い旗』は使者の証で〝戦意はない〟という意思を示す。

 はたしてその『白い旗』(ハンカチ)の効用か、オレリーとマルレーンは()()()()撃たれるようなことはなく、小路の入口に立った男の近くまで近づいていくことができた。


 男は、オレリーとマルレーンが十歩ほどの距離まで近づくと、ヴィンチェストライフルの装填レバーをガチャリと鳴らしてみせた。「そこで歩みを止めるように」との合図らしい。

 その緊張した顔に、オレリーは見覚えがあった。


 町に着いた日の夜、エミールと酒場(サルーン)の一階で夕食を取っていたとき、ホールに入ってきたあの少年だ。彼はその場にラーキンズ保安官の姿を見ると、なんだか逃げるように出て行ったけれど、そうか、(くだん)のカウボーイの一人だったのか……。


 足を止めたふたりを向いて、男――少年は、その表情と同じく緊張した声を上げた。

「何の用だ」

 いきなり銃口を向けてこなかったのは幸いだ。問答無用という訳ではないらしい。

 ともかくオレリーは、話を切り出すことができた。

「あなたたちの話を訊きにきたの。……〝言い分〟があるでしょうから訊くわ」

「…………」

 探るような目線となる少年。オレリーは頑張って笑顔を向けた。

「ね、どうすれば南への道を通してもらえるか(しら)」

 と、その言葉尻を引取って、おっとりとした口調で、マルレーンが続けた。

「――わたしたち〝渡り〟です。話は町長と保安官じゃなくてコミッショナーに伝えます。だから〝ボス〟を呼んできてもらえます?」

 屈託のない〝単刀直入〟なその物言いで、少年はようやく肯いた。

「ちょっと待て。会うかどうか、兄貴に訊いてみるから」



 オレリーとマルレーンは、屋根の半分落ちた伝道所の建屋に通された。

 ここに至るまでにオレリーが確認したカウボーイの人数は、〝小路の少年〟を含めて7人。〝ボス〟(リーダー)は一見してすぐにガンスリンガー(拳銃使い)だと知れる風体だったが、まだ若かった。たぶん20代の半ばを超えた辺りだろう。

 腰の得物(えもの)はSASS(シルト社シングル・アクション・〝シックス・シューター〟)で、ホルスターの吊るし方から、中々の使い手であろうと推察できる。他の6人は、荒くれものなのだろうが、少なくとも彼ほどには銃の使い方に長けていないようだ。……やたらと銃の存在を誇示したがる所作が、どうにも雑だった。


 さて、それはおき……、

 青空の覗く部屋で出迎えたリーダーの男は、しばらく〝女渡り〟ふたりを値踏みするように見遣っていたのだが、ひとつ部屋の中で荒くれ男どもに囲まれても、一向に〝動ずる〟ことのない彼女らに〝(ただ)ならぬモノ〟を感じ取ったらしかった。

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