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千夜一夜物語  作者: 冷やし中華はじめました


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遺伝的内定制度

序:新たな就職活動

近未来の日本。政府は労働市場の効率化と最適化を目指し、**「遺伝的内定制度」**を導入した。これは、各個人の遺伝子情報を解析し、その適性や能力に基づいて自動的に職業を割り当てる制度である。これにより、企業は最適な人材を確保でき、個人は自分に最も適した職業に就くことができるとされた。


大学生のAは、この新制度のもとで就職活動を迎えていた。彼は自分の遺伝子情報がどのような結果をもたらすのか、不安と期待が入り混じった気持ちでいた。


破:遺伝子による選別

Aは指定された日に遺伝子検査を受け、その結果を待っていた。数日後、政府からの通知が届いた。そこには、彼の遺伝子情報に基づく適性職種と内定先の企業名が記されていた。


しかし、Aが期待していた職種とは大きく異なる内容だった。彼は幼い頃からエンジニアを目指して勉強してきたが、通知には**「あなたの遺伝子適性は接客業です」**と書かれていた。さらに、内定先は大手のサービス業であった。


Aは困惑し、再検査を申請したが、結果は同じだった。彼の努力や希望は、遺伝子情報の前では無力だった。


急:遺伝子社会の闇

Aは内定先で働き始めたが、仕事に対する情熱を持てず、日々の業務に疲弊していった。周囲の同僚たちも同様に、遺伝子適性によって配属された者ばかりで、必ずしも自分の希望する職種に就いているわけではなかった。


ある日、Aは同僚のBから、**「遺伝子情報の改ざんサービス」**の存在を知らされた。高額な費用を支払えば、自分の遺伝子情報を希望する職種に適合するように改ざんできるというのだ。Bはそのサービスを利用し、希望の職種に就いたと語った。


Aは悩んだ末、そのサービスを利用することを決意した。彼は借金をしてまで遺伝子情報を改ざんし、再度検査を受けた。結果、彼はエンジニアとしての適性があると判定され、希望の企業から内定を得た。


しかし、改ざんが発覚するリスクは常に付きまとっていた。もし発覚すれば、社会的信用を失い、法的な罰則を受ける可能性もあった。Aは不安を抱えながらも、新たな職場で働き始めた。


終:遺伝子に縛られる未来

遺伝的内定制度の導入から数年が経過し、社会は大きく変貌していた。遺伝子情報による職業選択が当たり前となり、人々は自分の遺伝子に縛られた人生を送っていた。一方で、遺伝子情報の改ざんや不正が横行し、社会の秩序は乱れていった。


Aはエンジニアとして働き続けていたが、常に不正が発覚する恐怖と戦っていた。彼は自分の選択が正しかったのか、遺伝子による選別が本当に社会のためになっているのか、疑問を抱き続けていた。


そして、ある日、政府は遺伝子情報の厳格な管理と監視を強化する方針を発表した。これにより、不正を行った者たちが次々と摘発されていった。Aもまた、その対象となり、全てを失うこととなった。


遺伝子による選別社会は、人々に新たな可能性をもたらす一方で、個人の自由や希望を奪い、不正や差別を生み出す結果となったのである。

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