7/620
路上のアイドル
売上向上のため、少女型アンドロイドに「失明」「難病」「不治の呪い」といった不幸設定が次々と追加された。しかし、市民の反応は冷めていった。 「あのアンドロイド、不幸に慣れすぎて新鮮味がないわね」 焦った企業は、ついに究極のアップデートを行った。 翌日、少女の隣に、彼女を激しく罵り、鞭で打つ「虐待者役のアンドロイド」を設置したのだ。 すると、売上は過去最高を記録した。 人々は少女を救うためではなく、「虐待者を止められない自分の無力感」に酔いしれ、免罪符を買うようにコインを投げ入れた。 数ヶ月後、その街の路上は、偽物の悲劇と、それを撮影して楽しむ群衆で埋め尽くされた。 そして、本当の悲劇が起きた。隣で本物の子供が倒れても、通行人は「最新型の演出だろう」と笑って通り過ぎ、動画の「いいね!」を押すことしかできなくなっていたのだ。




