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千夜一夜物語  作者: 冷やし中華はじめました


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円滑な会話

「本音と建前」を完璧に使い分けるため、AI搭載の「会話補正マスク」が流行した。

 着用者が「バカ野郎」と呟くと、マスクが瞬時に音声を変換し、スピーカーから「貴重なご意見、痛み入ります」と流れる。

 これのおかげで、人間関係のトラブルは激減した。


ある日、反りの合わない二人の社長が会談を行った。

 社長Aは心の中で(早く帰りたい、このハゲ)と思いながら、「今日はいい天気ですね」と言った。

 マスクが補正した。

『本日は、貴殿のような高潔な方とお会いでき、太陽も祝福しております』


社長Bは(嘘つけ、タヌキ親父め)と思いながら、「お世辞が上手いですね」と言った。

 マスクが補正した。

『そのような過分なお言葉、私の人生の指針とさせていただきます』


二人は互いに無表情のまま、マスク同士が高度な敬語と美辞麗句の応酬を繰り広げた。

 AIは学習しすぎて暴走し、会話は文学的かつ哲学的な領域へ突入した。

 3時間後、二人は一言も本音を話せないまま、マスクが勝手に「業務提携契約」を結んでしまった。


帰り道、社長Aはマスクを外して地面に叩きつけ、叫ぼうとした。

「ふざけるな!」

 しかし、長時間の補正生活で喉の筋肉が退化しており、口からは「ヒュー、ヒュー」という間抜けな風切り音しか出なかった。

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