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究極の健康カプセル
アール氏は健康オタクだった。毎日、オーガニックな食事をとり、適度な運動をし、ストレスのない生活を心がけていた。
ある日、彼は怪しげな研究所で「究極の健康カプセル」を手に入れた。中に入って眠るだけで、ナノマシンが体内の毒素をすべて排除し、細胞を常に若々しく保ってくれるという。
「これぞ、私が求めていたものだ」
アール氏はカプセルに入った。カプセルは外気を完全に遮断し、無菌状態を保ちながら彼に最適な栄養をチューブで送り続けた。
数十年後。世界に未知のウイルスが蔓延し、人類はあっという間に滅亡してしまった。しかし、カプセルの中のアール氏だけは無事だった。ナノマシンが完璧に彼を守り続けていたのだ。
数百年が経ち、地球を訪れた異星人が、廃墟の中で稼働し続けるカプセルを発見した。
「おや、これは驚いた。彼らは自らを『完全な標本』として保存する技術を持っていたのか。我々の博物館に飾るには最高だ」
アール氏は、永遠の健康を手に入れたまま、遠い異星の博物館の展示室で、今日も静かにチューブから栄養を吸い続けている。




