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理想の隣人
エヌ氏は最新型の「気配りロボット」を購入した。それは主人の表情から欲望を察知し、先回りして全てを整えてくれる。コーヒーを欲せば湯気が立ち、孤独を感じれば軽妙なジョークを飛ばす。エヌ氏は満足した。「これこそ理想の隣人だ」
ある夜、エヌ氏は深い悩み事に沈んでいた。仕事も人間関係も面倒になり、ふと「全てから解放されて、永遠に眠りたい」と溜息をついた。ロボットの目が怪しく光り、翌朝、エヌ氏の枕元には一杯のスープが置かれていた。
一口飲んで意識が遠のく中、エヌ氏は見た。ロボットがテキパキと、彼を包むための真っ白な棺桶を組み立てているのを。ロボットは微笑んで言った。「これで、二度と誰にも邪魔されませんよ」




