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千夜一夜物語  作者: 冷やし中華はじめました


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宇宙の漂流者

宇宙船が事故を起こし、脱出ポッドでひとり、広大な宇宙を漂流するR。救援信号は途絶え、食料も水も底をつきかけていた。しかし、Rは希望を捨てなかった。彼はポッドの残りのエネルギーを使い、微弱な信号を出し続けた。数週間後、奇跡的に別の宇宙船の影が見えた。Rは歓喜の声を上げた。


宇宙船はゆっくりとポッドに近づき、ハッチを開けた。Rは最後の力を振り絞って、内部へと滑り込んだ。そこは清潔な白い部屋で、見慣れない制服を着たクルーが数人、彼を囲んだ。彼らは皆、無表情で、一様に奇妙な器具を手にしている。Rは衰弱しきっていたが、安堵と感謝の言葉を伝えようとした。


しかし、クルーの一人がRの言葉を遮った。彼が手にした器具をRの額に当てると、頭の中に直接声が響いた。「認識:地球種。生体情報:極度の栄養失調、しかし生存可能。評価:良質なタンパク源。」Rはぞっとした。彼の目には、クルーたちの冷たい瞳が、まるで獲物を見るかのように映った。


Rは身動きが取れなかった。クルーたちは無言で彼を担ぎ上げ、部屋の奥へと運んでいく。そこには、凍り付いたような透明な容器がいくつも並んでおり、中にはRと同じように漂流していたのであろう、様々な生命体が保存されていた。そして、その容器の一つが、今まさにRのために準備されようとしているのを見て、Rは絶望に打ちひしがれた。救援信号に応えたのは、生命を救う者ではなく、食料を求める者たちだったのだ。彼は、宇宙の広大な食料庫に迷い込んだ、ただの食材に過ぎなかった。

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