閑話ースコット家の異変
私はアラン・スコット。スコット家の家長である。
私には妻と、3人の子どもがいる。長男デイビッドは医師、次男オリバーは騎士団に所属、三男マシューはまだ学生だ。
だが、それも表向きの姿。3人とも間諜の役割を担っている。
そして今、マシューは隣国で新人の商人として潜入していてこの国にはいないのだが、そんなマシューに最近釣書が届くようになった。
それも、貴族学園で娘が見染めたので、是非婚約を!という内容の。
これは、アレだよな?レベッカのことだよな?マシューは学園にいないもんな。
どうしたものか釣書の山を見ながら、深く溜息をつくしか無かった。
気晴らしに町に出てみる。
久し振りに妻とショッピングだ。普段から頑張ってくれている妻に、今日はアクセサリーでもプレゼントしよう。うん。そうしよう。
王都からそんなに離れていないからか、今日はどの店も賑わっているな。
妻が懇意にしているジュエリーショップに着くと、店に入る前に囲まれてしまった。
暗殺集団かと身構えたが、どうやら違うらしい。
どこぞの伯爵家の使いの者だとか、子爵家、男爵家のご婦人、商家の使用人まで、釣書の返事の催促かと思えば、茶会の誘いや晩餐会の誘いまで、一度直接会って話したいという事だ。
結局、茶会の手紙や贈り物などを押し付けて使用人たちは帰って行った。
はぁぁ〜
一体どうしたもんか。まさか、本人は隣国に行っていて、学園に行っているのは別人です、とは言えないし。
ふと隣を見ると、こんな状況でも妻は面白そうに笑っている。
「いざとなったら、レベッカとマシューを仮婚約させちゃえば良いのよ。」
そうか、それもありだな。
ちょっと肩の荷が下りた気がした。




