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休日①

貴族学園に編入してから3ヶ月が過ぎた。


幼い頃から鍛錬を積んできたが、それでも剣術の時間はちょっとキツイ。

仕事の時に使うのは大抵が懐剣だ。

ドレスの中に仕込みやすいからね。

レイピアならもっと動きやすいけど、学園ではロングソードだ。


男性としては少々筋肉が少ないこの身体で戦うならば、最小限の動きで!先手必勝!である。


先日の練習試合で当たったネイサン・シャレーは、とても良い動きをしていた。


太刀筋が良く、身体の動きも滑らかだ。


久し振りにワクワクした!彼の師匠も凄い人なのかも!

今度聞いてみようかな。


将来は騎士団でこの国を守ってくれるのだと思うと、とても喜ばしい。


そんな彼との試合が楽しくて、いつもより時間をかけてしまったが、無事に勝つことができた。


「ねぇ、みんな見てた?」


嬉しくって王太子殿下の元に走り寄ると、アルフォンソによくやったと頭を撫でられた。


騎士団長候補の彼に褒められたことが、素直に嬉しくてニマニマしてしまう。


体格の差と力の差をどう埋めるのか、みんな気にしてくれていたのね。


ふと隣りにいるレオンハルト王太子殿下に目を向けると、何故か顔が赤かった。


最近、この顔を良く見る気がする。体調でも悪いのかな?


「殿下、体調が悪いのですか?」


こそっと聞いてみても、「いや、大丈夫だ」と言われておしまいだった。


今度疲れに効くハーブティーでも持ってこよう。


そういえば、週末にエミリアと街に遊びに行く事になっていたから、その時にお茶の専門店も覗いてみようかな。







そして待ちに待った週末。


今日は学園もお休みなので、マシューとしての護衛もお休みだ。


美味しいと評判のレストランに、人気のカフェ、雑貨屋さんも寄りたいな~。


学園ではまだ接点を持てないエミリアとの貴重な情報交換の場なので、ジルも護衛として一緒に来る事になった。


本当なら私達だけでも大丈夫なんだけど、護衛もつけない貴族令嬢は逆に目立つので仕方が無い。


マシューの時には着られないラベンダー色のワンピースに袖を通す。


オシャレして出掛けるのも久し振りで、わくわくする。


「お嬢様、良くお似合いです。今日は暖かくなりますから、髪はアップにしておきましょう。」


「そうね、お願い」


薄くお化粧をして髪も結ってもらうと、先に用意ができたジルが部屋に迎えにきた。


「用意出来たか?あぁ、ベッキーは今日も可愛いいな。いいか、街は人も多いからはぐれないようにするんだぞ。護衛にもう一人、騎士団からライアンを連れて行く。何かあれば、俺かライアンに言うんだぞ。」


「もう!お兄様、私も子どもじゃありませんから、大丈夫ですわ。」


「子どもじゃないから、心配してるんだ。」


ジルは本当に心配症だと思う。


「さぁ、ライアンを待たせている。そろそろ行くぞ。」


「はい。」


二人でエントランスに向かうと背の高い短髪の男の人が立っていた。


あれがライアン様ね。


良く見ると、切れ長の目に怜悧そうな顔、それに衣服越しでもわかる鍛えられた身体。


うん、まさに騎士様って言う感じ。


「待たせたな。」


「い、いや、大丈夫だ。」


ライアン様と目が合う。


「大変お待たせ致しました。レベッカ・テイラーでございます。護衛をして頂けるということで、ありがとうございます。本日は宜しくお願い致します。」


カーテシーをして言うと、ライアン様は真っ赤になってしまった。


「初めまして。ライアン・スワローです。王宮騎士団で2番隊の隊長をしております。どうぞ私の事はライアンとお呼び下さい。」


「はい。ライアン様とお呼びしますね。では、わたしのことはレベッカと。」


スワロー子爵家の嫡男だったかしら。2番隊ということは街の巡回も担っているから、今日呼ばれたわけね!


「あの、お顔が赤いですわ。どこか具合でも悪いのではないですか?」


「え!?いや、大丈夫です!めちゃくちゃ元気です!あ、あの!そ、そのワンピース、とてもお似合いてす!」


「あ、ありがとうございます。」


デビュタントもまだしていないから、家族以外の人に事に慣れていないくて、顔が赤くなってしまう。


「おい。エミーが来たから行くぞ。それからライアン、俺の妹を口説くな。」


「え?い、いや・・・」


「口説くだなんて。お兄様、社交辞令くらい私にだって分かりますわ。」

 

「・・・」


「はぁ。我が妹は仕事以外はポンコツなのか?」


ポンコツとはヒドイ言われようである。


「ま、まぁまぁ。レベッカ嬢、馬車までエスコートしてもよろしいでしょうか。」


「えぇ、ありがとうございます。」


ライアン様にエスコートしてもらい外に出ると、イエローのワンピースに髪をハーフアップにしたエミリアが馬車の前で待っていた。


「おはよう!エミリア(その姿で会うのは)久し振りね!ワンピースも素敵!」


「おはよう!レベッカこそ、ラベンダーカラーがよく似合ってるわ!今日は新しくできたカフェにも行くんでしょ?楽しみにしてたんだから!」


ライアンもエミリアに挨拶をして、馬車に乗り込む。


レベッカの隣にエミリア、ジルベルトの隣にライアンが座り、他愛のない話をしながら街まで行くと、新しくできたカフェが目に入る。


私もエミリアも街に出るのは久し振りなので、今日はあちこち回る事になりそうだ。

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