閑話3-3.「水都 萌」
閑話3-47です。
今回はスイーツ大好きな萌ちゃんの話。
新規に評価とブックマークを頂きました!!
本当に励みになります!!
ありがとうございました!!
私の名前は、水都 萌。長野県の出身だ。
全国の美味しいスイーツの食べ歩きが好きな私は、友人たちと一緒に女の子4人組でいろんな地方に行ってスイーツを食べに行っていた。
私は歯科助手。虫歯が怖いから。他のみんな、洋菓子屋や和菓子屋さんで働き、修行という名の売れ残り商品を安く譲ってもらい、誰かの家で品評会をするという日常を送っていた。
最終的には4人で、スイーツメインのおしゃれなカフェをやりたいという目標があった。
どうして、大阪にいたかって?今思えば軽率な行動だったのだと思う。『崩壊の日』の放送があったのだが、日常には何の変化もなかった。
崩壊の日から、1日が経過する前ぐらいに、前々からあった、大阪にスイーツを食べに行く企画をどうするかという話が持ち上がった。
崩壊の日から、父は忙しく家に帰って来る事は無かった。本当にダンジョンは至る所に出現し世界は変わろうとしているのに、私たち4人には危機感などなかったのだ。
私たちは最後の旅行という名目で、それぞれの親を説得して、計画通り2泊3日の大阪旅行にいく事を決めたのだった。
長野に戻る前日の夜、システムから放送があった。
『車とか電車とか飛行機とか人類が乗って移動できる奴ってヤバいじゃないですかー!あんなのにぶつかられたら魔物はミンチだよ!!ミンチ!攻撃する物に変換されたら困るから、禁止にします!!えー?ちょっと待ってね。「少し、聞きずらいです、はい、はぁ、わかりました」こほんっ!明日の10:00から適用ね!!飛んでる途中の飛行機は墜落ーって事にはならないけど、到着したら、もう二度と飛んだり、走ったりしないので、次の便は無いと思っててくださいねー!!』
本当にめちゃくちゃな、内容だと思う。
明日の10時ならギリギリ帰られるかもしれない…。私たちは、次の日の始発に合わせて駅に向かった。
電車は運休するという事だった。10:00までなら時間があるじゃない!そう言いたかった。でも、みんな条件は同じだ。私たちは駅前で、しばらく途方に暮れた。
「おい!どうなってんだ?ごらぁ!」駅員さんの胸倉をつかみながら、脅し?脅迫?をしている、見るからに私は頭が悪いですって感じのお兄さんがいた。
ただでさえ、憂鬱な気分が最悪な気分になっていく。この人がどうにかできるなら、もうとっくにやってるわよ!!そう言ってやりたかった。
「人の胸倉つかんでいる時間があるなら、走ってでも、歩いてでも目標に向かって進めよ。見てて目障りなんだよ。お前!」
私の言いたかった事を代弁するかのようなタイミングで、ジャガイモ顔の高校生が止めに入った。
「おい。小僧!俺は気が立ってんだ!」言い返した感じの悪い兄ちゃんに、違う高校生が言い返した。「だからなんだ?気が立ってるから?どうしようもできない人に向かって、何を期待してるんだ?神か?仏か?あんたを見てると、2~3歳の子供が駄々を捏ねてる様にしか見えない。格好は大人だけど精神年齢は2ちゃいでしゅかー?おにいたんのいってることが、わかりましゅかー?」
正直馬鹿にしすぎだぞ!って思っちゃった。言いたいことはわかるけど、いい加減にしないと殴られるよ。心配してしまった。
案の定、その煽り続けた高校生は殴られてしまった…。ように見えただけで、ガラの悪いお兄ちゃんを軽く返り討ちにしてしまったのだ。そして、歩いてどこかに行ってしまった。
「萌!あの子すごいねー!デコピンでやっつけたよ!!」友達はヒーローを見るかのようなコメントをしていた。
私は、最初に声を掛けたジャガイモ君の方が、カッコいいと思ってしまった。一切煽らずただ止めに入っただけ。かっこいい。
そんなこんなで、私たちは大阪から戻る事も出来ず途方に暮れていた。
私は父に電話して状況を説明すると、3時間後ぐらいに車が迎えが来た。「大阪南部聖域都市の香田です。水都さん達でしょうか?」
いやらしい目をしたおっさんだった。
父は、長野で政治家をやっている。最上級国民になるらしい。その父の伝で、しばらく大阪南部聖域都市に上級国民用の住居を用意してもらえることになったそうだ。
聖域都市の生活は、暇で仕方がなかった。早く迎えに来ないかなぁと思っていたが、父が言うには、車も電車も動かなくなったから迎えに行けないそうだ。あと3か月で魔物が外に出てくるので大阪からの帰りは魔物が外に出ている状態になるとの事だった。「定期的に連絡をして欲しい。お父さんが強くなって迎えに行くから。」だそうだ。
どうも、父はダンジョンの探索を率先して行っているらしい。
そうこうしているうちに、電話がつながりにくくなり父との電話の回数は減ってしまった。今思うのは、お父さんは無事なの?家族はどうなった?「私は無事だよ。」その言葉だけでも伝えたい。その気持ちだけだ。
大阪南聖域都市は、ゴブリンの襲撃を受け崩壊した。
私たちは、最上級国民の扱いで聖域までは用意されなかったが、避難所に入る事が出来た。
私たち4人は避難所にいる人たちから白い目で見られて、居心地が悪かった。「お前たち何者?」口には出してこないが目がそう訴えていた。
「萌。移動しよう。」洋子ちゃんの提案で人目につかない体育館の用具室で待機する事に決めた。しばらくすると、外や中からゴブリンの声が聞こえて来て、争う音も聞こえた。
4人でかたまり。「見つかりませんように。」震えながら体を寄せ合って、普段は信じていない神様や仏様にお願いするしかなかった。
5時間ぐらい経過したころ、物音はしなくなった。外に出ると、泣きじゃくる男の子がいた。なぜかわからないけど、私はその男の子を力いっぱい抱きしめた。
「大丈夫だからね。もう、大丈夫だからね。」自分にも言い聞かすように彼を抱きしめ、ポケットに入っていた飴玉をあげた。「甘い物食べると落ち着くんだよ。」なんでだろう、私は甘いものを考えたら笑顔になったんだ。「お姉ちゃん。ありがとう。」飴玉を食べた子供も元気に笑ってくれた。
葛城さん達に救助された私たちは、面接を受ける事になった。結果は、私だけ合格だったけど…。
「私はスイーツでみんなを笑顔にしたい!こんな世界だからこそ、高級なスイーツや料理を食べないと気持ちで負けちゃう!スイーツ作りや料理をさせてもらえるなら、出来る事なら何でも手伝います!!あと…。平和な世界になったら…。お店が持ちたい!!」
「お店か…。持てるような世界になったらいいですね。」面接官のどこかで見たことがある気がする少年は、少し嬉しそうに、そして決意を固めたような眼差しでうなずいた。
作者からのお願いです
少しでも、続きが気になる。頑張れ。
と思った方、ブックマークや評価をお願いいたします。
☆☆☆☆☆をタップして、★★★★★にして頂いたら
モチベーションがすごい勢いで回復します。是非よろしくお願いします。
前作も完結しておりませんが、あと2話で完結します。
よかったら、読んでみてください。
[3章完結]俺のスキルが「ハートを盗む」だったんだが....。こんなスキルで異世界生きていけますか?こっちは必死に生きてるだけだ!
https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/1937219/