3-14.「葛城さん」
3-14話です。
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「こ、香田さん!!この人殺しが~!!」他の隊員が俺を見て喚いている。
「…。ライ…。」「ライ…。」ケンとシロは、俺に対して、どう接すればいいかわからない様子だ…。
「ケン。シロ。ごめん。イラっとしてやっちゃった。」
同族を殺すことがこんなにも気持ち悪い物だと思わなかった…。
「殺人鬼が!!早くあのデカい奴をぶっ殺して来いよ!!香田さんみたいになぁ!!」「何物か知らねぇけど、強さしか能が無いんだろ?」
言いたい放題行ってきやがる…。
「よう!ライ君。さっきは助かった!」 この馬鹿達も消してしまおう、そう思った時、葛城さんが合流した。
~葛城視点~
何とか、立場の弱い住民を避難させることが出来た。あのライって少年のお陰だ。 「小隊のみんなは、みんなの避難先での警護を頼む!門が破られると大変だ。俺は門に回る。」
門の前まで来ると大変だった。とっくに門は破られていた。 「香田のおっさんは何をやってんだ?」つい、口から言葉が出てしまった…。
「あのバカでかい、ゴブリン。中に入ってやがる…。しかも、地下の聖域まで入ってる…。RANK A以上って事か!!」
聖域の中には、えらい議員や会社の役員など、特権階級と呼ばれる人たちでいっぱいだ。モンスターと、まともに戦える奴なんていない。
普通の人間は…。助けないと!!ってなるんだろうな。
俺が感じたことは、「いい気味だ。」この感情しかない。
~3か月前~
「香田さん!この状況はおかしい!!なんで、この聖域都市の住民は、働かない?聖域の中の住人は何をしてるんだ?たまに、地上に出てきたと思ったら。不平不満の嵐。「最上」や「上級」「下級」とか言ってる場合じゃないだろ?」
「葛城。お前は強い。その価値だけで「上級」なんだ。ダンジョン攻略で結果を残した。誰かの手柄を奪っただけにせよ、戦える。お前の価値はそれだけ。戦えなければゴミ。お前の発言は「最上」の方たちの根本を否定するという事か?最悪の場合、内乱罪が適用される。わかっての発言か?」
「…。内乱罪…。そんなつもりで言ってるんじゃない…。」「別に、嫌なら出て行ってもいいんだぞ?お前の代わりに誰かが派遣されるだけだ…。」
あの時、出ていこうかと思った。でも、出来なかった…。
怖かったからじゃない….。こいつら、人間というモンスターから一方的に攻撃されるだけの人を守れなくなるからだ。
こんな、カスみたいな人格でも、香田は☆3。火魔法も使える…。☆は部下から横取りしただけなので、ステータスが高いだけだが…。聖域都市の守備隊で☆3は準最上級。俺たちの中では、一番偉い軍人だ。こいつは、壁の中でストレスがたまる住人のはけ口に避難民、いわゆる「下級」をあてがった。はけ口の内容は、次第にエスカレートしていった。彼らを、壁の外へ逃がしても…。安全を確保してやることは出来ない…。俺には、どうする事も出来なかった。
目の前の愚行を、止めに入る事しかしてあげられないのだ…。ストレス発散を邪魔する俺は目障りなのか…。俺の指揮する第3小隊は、外回りを言い渡される。外回りとは、壁の外での食料調達という名の戦闘要員だ。おかげで、小隊のレベルは上がり戦力としては無視できない存在になれたのだが…。この馬鹿は、何もわかっていない。外の魔物の動き型が変わってきている事も。
ある日、俺たちの部隊とは別の隊と行動した下級の人がケガをした。
「使えなくなったゴミは捨てよう。食料の無駄。」そう言いだして、そのご主人がケガをした一家は、門の外に掘り出された…。
親子4人家族だったと思う。娘も懸命に食料調達を手伝っていたが、ウルフに足を噛みつかれ、しばらく働けなくなっていた。母親は、もともと病弱なため働けず、父親が一家のノルマ8人分の食事を集めていたのだ。そんな人を簡単に掘り出してしまった。
「香田さん。次は誰にしましょうか?月野って一家がいてね…。最近ここに入って来たんですが。奥さんがいい女なんですよ…。娘は小さいけど可愛くて。苛めぬいて、奥さんを頂くのはどうでしょう?」
このクズは、香田のお気に入り。沖田という。こいつは、悪党だ。この前捨てられた、山川さん一家は、娘が彼らの愛人という名の奴隷になるのを拒否したので捨てられたことも判明している。この、沖田が原因だ。
月野さん達は、必ず守ろうそう思っていた。ご主人は限界だ。今日、俺が間に入ろう。そう思った日だった。
1人用の入場料として。オーク1匹を渡した少年が、沖田を半殺しの戦闘不能にして、月野さん一家全員と消えたとの情報を入手したのだ。
今日、俺は彼と出会った。まっすぐないい目をしている。人のために最善を考え、口だけではなく行動も示した。
彼が合流していなければ、第3小隊はコマンダーとの戦闘で、ほぼ壊滅。門から侵入したモンスターによってこの街は崩壊していた事は簡単に想像できる。 そう、彼はこの街に現れた救世主だった。
~今~
あの黒焦げは香田か…。何が起こったのかは想像できた….。 彼はこの事を後悔し、一生の心の傷になってしまうかもしれない。
俺に出来る事は、彼を否定するではなく。笑顔で肯定する事だった…。
「おーライ君!! 俺がやろうと思っていた、人間の皮をかぶったボスゴブリンを退治してくれたんだな!!ありがとう!!」きわめて明るく、そう心がけて。
「か。葛城!!そいつが香田さんを殺った!!殺人鬼だ!!上級殺しは全国で指名手配だ!!仇を取れ!!」
「…。ライ君。この敵の中には、人間の言葉を上手に使うゴブリンがいるなー。でも、所詮はモンスターだ言っている事が支離滅裂でよくわからないや!ゴブリンの世界には「最上」「上級」「下級」っていう3つの階級があるんだって、その階級はとても大切なんだ。勉強になったね!人間には適用されないけどね!!」
街を壊滅から、半壊に救ってもらった彼に、これ以上の業を背負わす訳にはいかない。
俺は、笑顔で馬鹿隊員3人の首をはねた。 ライ君にこれが正しい選択だよってわかってもらえる為に。
「ライ君。君は前を向け!!初めて違う種類のモンスターを退治したから、戸惑っているだけだ!!世界は変わった!人間にとっての敵はモンスターだ!そこのスライムちゃんみたいに、人間にとって友好的なモンスターは仲間だろ?違いなんてないさ!!君の判断や選択は正しい!!自信をもってやりなさい!!!」
葛城さんは、そう言って自信たっぷりに笑ってくれた。右手を上げてグッドの形を作りながら…。
なにかに、押しつぶされそうになって、霧がかかった俺の心の中が、晴れていくような気がした…。
「ケン。シロ。この周りを殲滅する!!葛城さん!!もちろん手伝ってくれるんですよね?」「ライ君!もちろんだ!!ライ君の仲間たち!!俺は葛城 忠26歳 独身だ!!よろしくな!!」
「いよいよ。敵討ち開始だな!!腕がなる!!」「葛城殿!よろしくです!!」
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