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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
【第二部】“旅立ち”編
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【第二部】第四十二章 再会得 <炎操作>

――“青ノ翼”・ホーム――



「いらっしゃい。よく来たね」

「おう、久しぶりだな!」

「お久しぶりです。お邪魔します」


 レインの案内で山中の“青ノ翼”のホームに着いたアレン達は、エーリッヒとラルフに出迎えられる。


 <念話>では話していたけど、直接会うのはエクスプローラーになる前、首都リムタリスに向かう途上の村で会って以来だ。そんなに時間は経っていないはずだが、懐かしく感じる。


「半日歩きっぱなしだから疲れたでしょ? 食事も取れるけど、休む?」


 エーリッヒの気遣いが嬉しい。


「どうしようか?」

「お腹空いたにゃ!」

「わっちも!」

「じゃあ、食事だね」


 琥珀と稲姫が食事を所望し、皆で遅めの昼食を取ることに。



「我が君、あ~ん」

「やめるでありんす! ――主様、わっちのを食べるでありんす! あーん!」

「いや、自分で食えるから! 二人も自分の食事を取ろう!」


 両サイドから食事を差し出されると、皆の目もあってスゴく気恥ずかしい。


「凄いな……青姫がここまではしゃぐのは初めて見たよ」

「だな。いつもこうだったのか?」


 エーリッヒとラルフが珍しいものを見たとばかりに目をパチクリさせている。


「昔はもうちょっと自重してたような……してなかったような感じにゃ」

「……琥珀ちゃん、これも美味しいよ?」


 健啖家(けんたんか)の琥珀は、レインさんが皿に取り分けてくれる料理をウマウマと食べている。エーリッヒが期待してくれと言っていた通り、アレン達は豪勢な食事でもてなされていた。


「こら、琥珀。あまりレインさんに迷惑をかけちゃダメだぞ?」

「……いいの。好きでやってるだけだから」

「レインは可愛い物好きだからな。特に猫は好きなんだよ」


 今は人型なのだが、そこら辺はあまり気にならない様だ。「……耳としっぽ、触らせて」とおねだりし、幸せそうにモフモフしている。


「しかし、驚いたな。琥珀と稲姫も妖獣だったなんて。――あの時、言ってくれりゃ良かったのによ」

「怪しい集団に襲われたばかりでしたからね。皆さんのことは信用してましたけど、なるべく伏せておきたかったんですよ」


 “あの時”とは、前に村の宿屋で一緒に夕食を取った時のことだろう。稲姫には耳としっぽを隠してもらっていたし、琥珀は猫の状態だったからな。上手く隠し通せていたみたいだ。



「アレン。そろそろ教えてくれてもいいんじゃねぇか? ――お前の“力”のこと」

「無理にとは言わないけど、やっぱり気になるね」


 皆が昼食を終えたころ、ラルフ達からそう切り出された。


「皆さんが青姫の仲間なら隠す必要も無いですね。お話しします」


 そしてアレンは、自らの出自――“御使いの一族”が持つ権能<神託法>について、彼らに語り聞かせた。



「まさか……妖獣の力を操れるなんて」

「……そんな能力、聞いたことも無い」

「でも、あの力を目の当たりにすりゃ信じるしかねぇな……」


 三人ともスゴく驚いている。しかし、ラルフの言う通り、エーリッヒとの対戦でその力を目の当たりにしてることもあって、思ったよりも素直に受け入れているようだった。


「ご主人は一族の中でも特に優秀だったから、うちらの力を同時に扱うこともできるのにゃ」


 琥珀が人差し指を立てながら、『エッヘン!』と得意げに説明を加える。アレンの自慢をできるのが嬉しいのだろう。


「へぇ、凄いな。なぁ、ちょっと見せてくれよ」

「……うん。見てみたい」


 隠すものでもないしいいかと、アレンは人差し指を立てて<紫電>を出してみせた。


「お、おお!?」

「……びっくりした!」

「この前はその力は使ってなかったね。そんな力もあるんだ」

「これは、エクスプローラー試験の時に立ち寄った村で“妖狼の雷牙”と出会って、信頼関係を築いて使える様になった“紫電”なんです」


 驚きながらも、ふむふむと頷く3人にアレンがそう説明する。すると――


「我が君。――その、わらわの力も使えるのじゃろ?」


 青姫に不安そうに袖を引っ張られた。――確かに、どうなんだろう。昔は使えたみたいだけど。


「ちょっと試してみるか」



 皆が見守る中、アレンは目を閉じ意識を自分の中に向ける。――すると、青姫との繋がりを確かに感じ取る。


 その先にある扉を慎重にゆっくりと開いていく。“門”の向こうから、懐かしい力の流入を感じる。アレンはその力を用い、<炎操作>を試みた。



「これは<蒼炎>か!?」

「……うん、間違いない!」

「ははは。――いや、ほんと、凄いな」


 皆の驚きの声にアレンは目を開ける。果たして――


 凄く懐かしさを感じる<蒼炎>が、立てた人差し指の先から出ていた。ふと、隣を見ると――


 青姫が目を袖で抑えながら泣いていた。そんな青姫を、琥珀が背を撫でて落ち着かせている。


――やはり、不安だったのだろう。一度は繋がりも断たれていたのだから、無理も無い。



「よかったでありんす! 今日はお祝いするでありんすよ!!」

「ええ。今晩は宴会です。お酒もありますし、大いに盛り上がりましょう!」

 

 皆で吉事を祝福する。それがどれだけ幸せなことか。一度それを失ったアレン達には身に()みて感じられた。



――アレンは皆との出会い、そして再会に感謝する。もう決して失いたくない。そのために、もっと強くなろうと改めて決意するのだった。



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