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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
【第二部】“旅立ち”編
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【第二部】第三十四章 動き出す脅威

――敵側・天幕――



「――お前達は、たったあれだけの人数も倒せないのですか?」

「お、お許しください! あの者達が異常なのです!」


 伝令の苦し紛れの言い訳に博士が鞭で応える。たった数人に中隊がまるごと殲滅されたと聞き、博士の機嫌は底を割っていた。


 伝令は傍から戦闘を見て状況確認し、報告に来ただけだ。――なのでこれは、博士の理不尽な八つ当たりなのだが、止められる者などこの場にはいない。


――いや、一人だけいた。



「まぁまぁ、博士。こいつの言う通り、今回は相手が悪かったよ。話を聞く限り、敵の中には“同時に複数の異能を操る子供”もいるらしいじゃないか。――それも、神獣クラスの力をね」


 伝令も良く知る特級戦力――“Sナンバーズ”の頂点である“S―01”だった。


 ナンバーズの者達に“名”は無い。研究施設で管理される彼らには、アルファベットと数字が識別()()として与えられていた。


 彼らは、()()の高い順にS、A、B、C、Dのグループに振り分けられる。そして数字が若い程序列が高くなる。


――そう。このS―01は、軍内では言わずと知れた不動のトップなのだった。


 S―01は“同時に複数の異能を操る子供”に並々ならぬ興味をそそられている様だ。何はともあれ、思わぬ援護に伝令は内心でホッと胸を撫でおろした。



「ふむ……面白い研究素材が見つかったと喜ぶべきでしょうか。――勝てますか?」

「もちろん」


 S―01は即答する。そこに一切の躊躇(ためら)いは見て取れず、絶対の自信が(かす)かにも揺らぐことは無い。それを見て博士が機嫌を持ち直す。


「いいでしょう。ならば、後はお前に任せます。Aナンバーズを含めた残りの戦力も好きに使って構いません。必ず神獣達と、――“複数の異能を操るという子供”を生かして捕らえて来なさい」

「ああ。わかったよ」


 指令は下された。――S―01がマントを翻し天幕を出て行く。



「さて、面白くなってきましたよ! 研究意欲が刺激されますねぇ♪」


 静かになった天幕の中、当初の憤慨が嘘の様に博士は上機嫌だった。



――伝令は、何とか命を繋ぎとめられた幸運に感謝し、博士に礼を取り、天幕を後にするのだった。



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