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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
【第二部】“旅立ち”編
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【第二部】第二十二章 合格連絡

――西エリア・エクスプローラー協会の外――



「ご主人、これからどうするにゃ?」

「今日はもういい時間だし、宿に泊まろう。明日からのことは――それも宿で話そうか」


 協会で正式にエクスプローラーの認定をされ、デバイスもゲットした――試験課題中も付けてたのをそのままもらっただけだが――ので、文句無しの目標達成だ。


 イザベラの秘書から一応のレクチャーも受け、大体の感じは掴めている。


 案の定、二階の支部長室を出て階下に降りてからは、たむろしているエクスプローラー達とひと悶着あった。


 ――って言っても、<紫電>を適当に身体に纏って脅したらそれだけで引かれたが。


「こいつ、ほんとに人間か……?」

「“紫電のアレン”……」


 何を血迷ったのか二つ名をつけようとした奴には睨みを利かせておいた。


――いや、まぁ、別にいいんだが、二つ名のきっかけを聞かれて「実は、危なそうな人達に絡まれるのがうっとうしくて、脅しで紫電を纏ってただけなんですよ」とか答えたくないだけだ。


「主様! お菓子!」

「はいはい、夕食が入らなくなるから少しだけだぞ?」


 協会のある西エリアから宿のある都市東エリアまでは、商店街のある中央区を通る。出店を見つけた稲姫に腕を引っ張られ、琥珀の分も合わせてお菓子を買うのだった。


――東エリア 宿屋――



「――あ! い、いらっしゃいませ! お泊りでしょうか?」

「はい、一人部屋を一部屋お願いします」


 以前泊まった宿に再び来た。受付のお姉さんは、以前アレン達が泊まりに来たことを覚えているようだ。三人で一人部屋に泊まったので、印象深かったのだろう。


(しまったな。他の宿でもよかったかな)


「承知しました! では、部屋までご案内させて頂きますね!」


 今回は何事もなく部屋まで案内してもらえた。チラチラと他の従業員達の視線は感じるが、前みたいに黄色い声などは掛からない。


(もしかしたらあの後、偉い人に叱られたのかもしれないな)



「お布団にゃあ♪」

「わーい♪」


 琥珀と稲姫がベッドにダイブする。デジャヴだな。でも、二人が気や魔素を操作して身体を綺麗にしているのは、前回聞いてわかっている。アレンも自分の身体を魔素操作で綺麗にしてベッドにダイブする。


「あ~……生き返るわぁ」

「昨日は野宿だったからにゃあ」

「やっぱりお布団が一番でありんす!」


 3人でゴロゴロする。



――そうして、夕食まで、三人で少しだけ仮眠を取った。


――宿の食堂――



 仮眠を取って少し頭がスッキリしたアレン達は一階に降りて食堂に向かった。


「お魚にゃあ!♪」


 琥珀のリクエストもあり、魚料理のフルコースに。今回の依頼でだいぶ報酬が入ったし、琥珀も凄く頑張って活躍してくれたので、慰労の意味もある。


 琥珀は、白身魚のムニエルをうまうまと食べる。アレンと稲姫も後に続いた。それからも次々に魚料理が運ばれてきて、狂喜する琥珀をなだめながらアレン達はお腹いっぱい料理を満喫するのだった。


――宿の部屋――



「お腹いっぱいにゃあ!♪」

「で、ありんすぅ!♪」


 部屋に戻ってくると、二人がご機嫌に再びベッドダイブを決める。


「さて、これからのことについて話す――前に、エクスプローラーになったって連絡しておこうかな」

「誰ににゃ?」

「“青ノ翼”のレインさん達と――あと、エリス、カールだな」

「どうやって連絡を取るでありんすか?」


 稲姫の問いに、アレンは自分の左手にはめた指輪を見せる。


――そう。これは、<念話>の魔法が込められた“アーティファクト”だ。


 “青ノ翼”からもらった稀少アイテムであり、これがあれば、離れた相手とも念話をすることが可能なのだ!



「<念話>のアーティファクトだ。――じゃあ、まず、レインさんから」



 早速使ってみる。魔法を使用すると、すぐに繋がった。


(……もしもし)

(夜分にすみません、レインさん。アレンです。今、大丈夫ですか?)

(……大丈夫。元気そうでよかった)


 レインは相変わらず寡黙そうだが、心配してくれていた様で、アレンも嬉しく感じる。


(――俺、今日、エクスプローラーになりました!)

(……おめでとう!)

 

 念話の先のレインも喜んでくれてるのが伝わって来て、アレンとしても笑みを浮かべてしまう。


「むぅ……なんか、目の前で堂々と浮気されてる気分にゃ」

「複雑でありんす……」


 琥珀と稲姫から睨まれている気がするが、今は念話に集中しないと。


(……これからどうするの?)

(仲間とも話して決めたいと思います。ひとまずは、お世話になった“青ノ翼”の皆さんにお礼をと思いまして)

(……そう。入りたくなったらいつでも言って。待ってるから。二人には私から合格を伝えておくね)


 それからしばらく、琥珀が元気だとか他愛も無い話をして、レインとの念話を切った。


「合格を喜んでくれてた。二人のことも気にかけてくれてたぞ。元気だって伝えたら嬉しそうだった」

「ご主人の浮気者……」

「ふん……」


 琥珀と稲姫の機嫌が悪い。おっと……睨まれてたんだった。でも、お礼は大事だからな。不可抗力だ、うん。



「次は、エリスとカールだな。――二人同時に念話出来るのかな? 試してみよう」



 <念話>のアーティファクトを起動し、エリスとカールの二人を思い浮かべて接続を試みる。


 すると、少し時間が経って応答があった。


(え? え? 何これ?)

(うぉ!? 何だ? 敵か!?)


 エリスとカールは初めての念話なのだろう。戸惑ってる様だ。アレンは思わずニヤけてしまう。


(よう二人とも! 久しぶり!!)


(きゃあぁ!?)

(あ、何だアレンか……なんだ、(おど)かすなよ)


 元気よく話しかけるとエリスからは絶叫が、カールからは安堵の反応が返ってきた。――カールって何気に神経図太そうだよな。


……マズい。念話で伝わると困るから、邪念は消さないと!



(これ、どうやってるんだ?)

(“青ノ翼”の人達から<念話>のアーティファクトをもらってな。それで)

(アーティファクトって稀少じゃない!? よく貰えたわね……)


 魔法に関心のあるエリスはやはり詳しいのだろう。凄く驚いていた。


(今日は二人にご報告があります。――俺、エクスプローラーになりました!)

(おお! やったか!!)

(アレン! おめでとう!!)


 念話先の二人が凄く喜んでくれてるのが伝わってくる。――やっぱ嬉しいな。仲の良い人達が喜んでくれると。アレンは自然と頬を緩ませる。


「疎外感パート2にゃ!」

「前にクレアが“放置プレイ”がどうとか言ってたでありんすが、これがそうなのでありんすね」


 琥珀と稲姫がイジけている気がするが、今は念話が途切れない様に集中しないとな。


 その後は、これからの事を聞かれたり、二人の学校生活がどうとか、他愛も無い話をした。


(じゃあ、そろそろ切るな?)

(おう! 俺達もすぐ追いつくからな。待ってろよ!)

(また連絡して来なさいよね……待ってるから!)


 二人との念話を切り、琥珀と稲姫のいる方に振り向く。


「二人とも元気そうだったぞ。あれから襲撃者達も来てないそうだ」

「よかったにゃ! ――実は、ちょっと心配だったにゃ」

「わっちらのせいで襲われて欲しくないでありんすからね」


 琥珀と稲姫はエリスとカールが無事と聞いて、ホッとした様子だ。


「あ! そうだ、ご主人! 次からはうちも念話に参加させるにゃ!」

「わっちも!」

「あ、ああ。念話に人数制限とかあるのかわからないけど、今度試してみるよ」



――急に怒り出した二人にドギマギしながらも、アレンは二人に頷き返すのだった。



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