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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
【第二部】“旅立ち”編
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【第二部】第二十章 一件落着

――ガラート村・村長宅――



「白巌よ。そなたはこれからどうするのだ?」

「どうもしねぇよ。岩窟に戻って暮らすだけだ」


 目を覚ました白巌を交え、雷牙、アレン、琥珀、稲姫は円座を組む。村長夫人が白巌の元にも茶と茶請けを持って来てくれた。


 犬猿の仲という例えがしっくり来る程仲の悪かった雷牙と白巌だが、決着が付いたからか、今はスッキリした顔で普通に会話していた。


「――あ。そうだ。白巌……さん。山道を通る行商人を襲ってますか?」


 アレンはここに来た本来の目的――『化け物の調査』を思い出した。


「白巌でいいぜ。――そうだな。襲ってるな。縄張りに入ってくる奴らを追い返すのは当然だろ?」

「馬鹿者めが! 其方(そなた)らは他所(よそ)から来たのであろうが! 『郷に入れば郷に従え』という仕来(しきた)りを知らんのか!!」


 全く悪びれもせず言い切る白巌を雷牙が叱る。


「弱肉強食だろそんなの。弱いのが悪いんだろうが」


 全く反省してない白巌に、雷牙のコメカミに青筋が立つ。


「まぁまぁ雷牙。――ところで、白巌は東から来たんだったか? 何かあったのか?」

「我も理由を聞いていなかったな。何があったのだ?」


 白巌は忌々しそうに舌打ちし――


「奇妙な仮面をつけた奴らが、俺らの住んでた山を襲って来たんだよ。――ヤバいからこっちに越して来たんだ」


 白巌はムスっとした顔で近くに置いてあった柿を食べ始める。


「ハハハ! 弱肉強食と言いつつ、逃げてきたのではないか!」

「うるせぇ! ――あいつら不気味なんだよ。俺の勘は当たるんだよ!」


 雷牙がからかい、白巌が怒鳴り返す。


「仮面? 道化みたいな仮面をした奴らか?」

「ああ、そうだが。――知ってるのか?」

「俺達もこの前襲われたんだよ。何とか撃退はしたが」


 仮面と聞き、アレン達が反応する。稲姫と琥珀は柳眉を逆立てていた。


「また悪さをしてるに決まってるでありんす!」

「あいつら、調子に乗ってるにゃ」


 白巌はそんなアレン達を見て納得顔だ。


「やっぱりこっちに来て正解だったな。――ヤバい奴らには関わらないのが一番だからな」



「お前が言うか!」とその場の皆が総ツッコミを入れるのだった。



「白巌よ。ここで生きていくのなら、行商人を襲うのをやめよ。……この村の住人達が困っておる」

「約束は『お前達妖狼と村人に手を出さない』だから守る義理もねぇが、――まぁ、その村人が困るってんならやめておいてやるよ」

「いいのか?」


 思い()けず素直に引いた白巌にアレンが目を見開く。


「襲う意味も大してなかったしな。俺らの住処を荒らさないなら別に構わねぇよ」

「なら初めから襲うでないわ!」

 


 また白巌と雷牙がギャアギャア言い合う。――やはり、犬猿の仲だな。


――翌日・村の入口――



「其方らには感謝している。困った時には声を掛けよ。助けに駆け付けると誓おう」

「今度来たらそいつと闘わせろ。それまでに強くなっとくからよ」


 村の入口でアレン達は雷牙達妖狼族、白巌達妖猿族、そして村人達に見送られようとしていた。


「今やってもいいにゃよ?」

「やめておくぜ。――今の俺じゃ、相手にならなそうだからな」


 白巌の挑発に琥珀が応じるが、白巌は手をひらひらと振って断る。――強くなってから闘いたいとか、ほんとワガママだな。


「またいつでもいらしてください。歓迎しますよ」

「稲姫ちゃん、琥珀ちゃん、またね!」


 村長や村人達も笑顔で送ってくれる。稲姫や琥珀はいつの間にか小さい子達の人気を集めていたようだ。周りを囲まれている。


――妖猿達は、琥珀が恐ろしいのか、なるべく距離を取っているようだった。


「お世話になりました! お元気で!」

「またにゃあ!」

「またでありんす!」



――そうしてアレン達は皆に見送られ、首都リムタリスに帰還するため、ガラート村を発つのだった。



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