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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
【第二部】“旅立ち”編
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【第二部】第十七章 雷牙 VS 白巌 

 雷牙と白巌が村中央の広場で対峙する。村人や妖狼、妖猿、アレン達は皆、遠巻きに二人の戦いを見守っていた。


「一つ約束せよ。――我が勝ったら、二度と我らや村人達に手を出すな」

「いいぜ。――なら俺が勝ったら、お前らは全員ここから出ていけ」


 雷牙と白巌が睨み合う。約束は交わされた。


――そして、両者が激突する。



 雷牙が遠吠えする。――(たちま)ち、村の直上に雷雲が立ち込め、雨が降りしきる。


――轟音を響かせ、白巌のいる場所に雷が落ちた。


「――チッ! いきなり大技かよ!」


 間一髪で横っ飛びに(かわ)した白巌が、棍を構えて雷牙に打ち掛かる。


 雷牙も俊敏な挙動で棍を躱し、反撃で白巌の腕に噛みつくが――


「――っ!」


 雷牙が顔をしかめながら距離を取る。


「俺の腕はうまかったか?」


 白巌が掲げる自身の右腕は無傷だった。肌色だった皮膚が白くなっている。



――これこそが妖猿の神獣、白巌が持つ固有技能<石化>だった。



 石化能力を持つ白巌には、雷牙の牙は通じない。雷牙は紫電による遠隔攻撃に切り替えた。


「バカめ……石化できる俺に電流なんて――」


――余裕を見せていた白巌が、雷牙から放たれた紫電により弾き飛ばされた。


 降りしきる雨で水浸しになった白巌や地面が紫電に見舞われた瞬間、その莫大(ばくだい)な電気エネルギーを受けて衝撃波が発生し白巌を襲った。


「ふむ……やはり、落雷程の効果は期待できんか」


「てめぇ……っ!」


 離れた場所で白巌が起き上がる。瞬時に全身を石化し、衝撃のダメージを緩和した様だ。


 普通の妖狼であれば、この様なことは起こせないだろう。雷牙の様に雷雲を呼び出し雨を降らせ、高電圧の紫電を扱える神獣ならではの技だ。


――これこそが、妖狼の神獣、雷牙が持つ固有技能<雷操作(かみなりそうさ)>と<雷雲招来(らいうんしょうらい)>だった。



――そして、闘いは熾烈(しれつ)を極める。



「凄い戦いだな……」

「雷牙もやるにゃあ♪」

「おへそが取られちゃうでありんす……」


 雷牙と白巌の戦いを離れた場所で観ているアレン達が各々感想を漏らす。――稲姫は自分のおへそを両手で隠していた。きっとキヌさんから教わったんだろうな。今度、正しい知識を教えておこう。


「白巌の石化も十分に脅威だ。あの腕力があわさった攻撃を食らえば、無事では済まないだろう。――雷牙、気を付けろよ」



――そして、戦闘は佳境(かきょう)(むか)える。



 雷牙と白巌、二人の身体はボロボロだった。雷牙が紫電で白巌を弾き飛ばせば、白巌は棍や石化した拳や蹴りで応酬する。


「――はぁっ、はぁ」

「グゥ……」


 両者が再び対峙し睨み合う。お互いに、次の攻撃で決着をつける意思表示を交わしていた。


 白巌が前かがみに地面に片手をつく。――全身を石化し、突撃の構えだ。


 対して、今一度雷牙は遠吠えし、今までに無い規模の雷雲を招来する。雨の勢いが強くなりゴロゴロと雷が鳴り響く。雷牙が身に纏う紫電も、帯電から放電に変わっていた。



 先にしかけたのは白巌だった。猛烈な勢いで雷牙に向け一直線に()け――いや、跳んで行く。


 そして――


 雷鳴轟き、雷が落ちる。凄まじい落雷が白巌の躱す余地の無い規模で襲い掛かった。



 周囲に衝撃波が伝わる。二人の戦いを見守っていた妖狼や村人、妖猿、そしてアレン達が衝撃に身構えた。


 衝撃波が去り、そこに立っていたのは――



――雷牙だった。紫電の放電がやみ、天空に向け今日一番の遠吠えを放っていた。



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