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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
【第一部】“エクスプローラー養成学校”編
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【第一部】第四十一章 卒業試験 筆記試験、魔法実技試験

――試験室――



「ではこれより、筆記試験を始めます。制限時間は今から正午まで。早めに終わったらそこで切り上げてもいいので、申し出てください」

 

 翌日、卒業試験を受けるために、アレンはナタリアから言われていた通り、登校したら教室にはよらず職員室に直行した。ナタリアから簡単にスケジュールの説明を受け、まずは筆記試験を受けるため、試験室に連れてこられた。


 広い試験室にはアレンしかいない。臨時の卒業試験なのだから当たり前だが、ずいぶんと贅沢なことだ。


「では、始め!」

 

 ナタリアさんの合図でアレンは筆記試験を開始する。配られたテスト用紙を表にし、ひたすら問題を解いていった。


 エクスプローラー養成学校のテストは、機能的なものが多い。魔法や武技の仕組み、エンハンスドデバイスの機能、旅をするにあたっての知識や知恵など、実用的、実践的なものが主体だ。


 これは、未知の土地への旅をすることが多く、道中の危険を自身の力で乗り越えることが求められるエクスプローラーにおいて必須となる教養だ。


 アレンはこの学校に入るまで、ルーカスにみっちりと実践的な教養を叩きこまれているため、問題を難なく解ける。


 エクスプローラーならではのエンハンスドデバイスの機能についても、アレン自身が興味を持ち学んでいたので、迷うことなく解答できた。



「終わりました」


 半刻もしないうちにアレンが終了を申し出る。


「もうですか?」


 いぶかしむナタリアさんに解答用紙を渡す。ナタリアがざっと内容を確認し――


「驚きました。理事長の言う通り、あなたは本当に優秀だったのですね」


 ナタリアに笑顔で褒められ、アレンとしてもどこか照れ臭くなる。


「では筆記試験はこれで終了です。午後からは実技試験がありますので、時間になったら実技訓練場まで来てください。昼食をとったり、休んで体調を整えておいてくださいね」



――お言葉に甘えて、アレンは午後までゆっくりと休ませてもらった。


――実技訓練場――



「では魔法実技試験を始める。デバイスをつけて攻撃魔法の練度を測定しろ」

 

 午後、予定通り実技訓練場に来たアレンは、訓練教官から指示を受ける。アレンはデバイスを装着し、さっそく遠隔攻撃用のブースに入った。


――<魔素操作>

 

 <神託法>により、稲姫の固有技能を使用し、周囲の魔素から風の刃を形成する。アレンの周りを凝縮された風属性の魔素が緑色に発光して渦巻き、訓練教官から感嘆が漏れた。


「何だ、これは……」


 デバイスにも登録の無い内容だから驚くのも無理はないだろう。ちなみに、デバイスへの登録について、“義務”は無い。新規登録されれば報奨金が出るが、それは“権利”だ。これは、一族の秘伝技能など、秘匿の求められるものに配慮された仕組みだ。


 犯罪性のある事件での使用でもない限り、開示や登録の強要はご法度となっている。稲姫や琥珀について、固有技能である召喚魔法と言い訳して通っているのは、これが理由でもある。



 アレンの右手から発生した風の刃がターゲットを断裂する。デバイスの練度表示を訓練教官が確認する。


「ウィンドカッター……改? 練度S……」


 訓練教官が見慣れない“改”表示に戸惑いながらも、最高成績である練度Sが認められた。



「お疲れ様。アレン君は魔法も凄いのね」


 遠くから見ていたナタリアが近づいてきた。


「まぁ、色々ありまして」


 <神託法>や稲姫の<魔素操作>のことは言えないので、ぼかすしかなかった。


「最後は現役のエクスプローラーとの実戦よ。疲れてると思うけど、もうちょっとだけ頑張ってね」

 


――そうしてアレンは、ナタリアに連れられ、実戦エリアにある闘技場へと向かった。


――闘技場――


 ナタリアとアレンが実践エリアの闘技場に着くと、大勢の人でごった返していた。


「な、何事です!?」


 ナタリアも知らなかったようだ。近くにいた青年教官に焦って聞いている。


「昼明けに理事長から校内放送があってね。『優秀な生徒が臨時で卒業試験を受けてるから、闘技場での実戦を見学したい人は観に行っていい』って」


 そう答える青年教官はナタリアさんの近くにいる俺に気づく。


「君がアレン君か。ずいぶん優秀だそうだね。実戦、期待してるよ!」


 そう言ってアレンの手を握り、去っていった。


「はぁ……理事長。また悪癖が出てますね……」


 ナタリアが疲れたように額を手で抑える。


「ごめんないさいね? 緊張するなって言っても難しいだろうけど、あまり観客は気にせず力を出し切ってね」

「大丈夫ですよ。この前ミハエルと決闘した時も大勢に観られてましたし」


 気遣ってフォローしてくれるナタリアに感謝しつつ――


「では、行きましょうか」



――アレンはナタリアさんと闘技場の中に入っていくのだった。


 

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