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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第七部 “和国・北洲の戦い”編③
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【第七部】第十一章 人質救出(牧場)①

――後城・三の丸・牧場前――



「あっけないな……まぁ留守番させられてるくらいだから所詮は末端か」


 三の丸にある牧場――小鬼の繁殖施設――前。神楽は目の前に倒れふす馬の妖獣をつまさきで蹴り上げひっくり返す。もはや息はしていない。


 制圧は驚く程簡単だった。屋敷の方は八咫、黒磨、黒夜達に任せ、神楽は黒悠他二体の烏天狗達と上空から奇襲をかけた。真夜中で視界の通らない中、門番達は抗う間も無く無力化された。


 黒龍を水路に放って二の丸で暴れさせているのも功を奏した。三の丸を警らしていた妖獣達のほとんどが現場に向かって行ったのだから。


「敵残存兵力なし。制圧完了」


 百合が忍び装束を敵の返り血に染め神楽に歩みよってくる。血に濡れたクナイの先から血がポタポタと地面にたれている。同じ装いのくノ一達も集まってきた。百合を含めて六人だ。


 神楽は、この牧場に彼女達を連れてくることに抵抗があった。そのため、百合にだけ<護符通信>でコンタクトを取っていたのだが、百合の返答は気丈なものだった。


『あそこは小鬼の繁殖場になってる。女性に取って過酷な現場だから、朝霜組は屋敷の方に向かって欲しい』

『同じ女性だからこそ寄り添えることもある。私達の幾人かは向こうに送るが、その牧場とやらには私達も向かおう』


 八咫達の時と同様<幻惑魔法>で光景を見せようかとも思ったが、それもためらわれた。男ならまだしも女にすすんで見せるようなものではない。悩みながらも神楽は百合達の同行を受け入れた。


 逆に、元々同行してもらおうと考えていた牙楽達落陽組は、屋敷に二人程向かわせ残りの六人は周辺の警戒や、警ら中の敵の排除、および人質救出後の手引きのため荷車の捜索や門付近の掌握に向かっていた。


 この忍達だが、城に侵入した手際が凄い。神楽は烏天狗達と空を飛んできたわけだが、飛べない彼らはどうしたかと言うと――


『泳ぐ。護符に水中での長期呼吸を可能にするものがある。衣類を速乾燥させるものもな』


 百合が当たり前のように言うのでうなずくだけで信じてしまったが、神楽としては驚きを隠せない。護符の汎用性はすこぶる高い。


 ただ、通常ではこうも簡単にはいかないだろうとのこと。水鬼の部下達が水中を警らしているからだ。


 今回は先に神楽が黒龍を放ち二の丸で暴れさせたのが功を奏した。二の丸からは未だ悲鳴と怒号、破壊音が鳴り響いている。


 神楽の生み出した黒龍――蛟シャドーは、その耐久力が尽きるか、一定時間を越えるか、神楽の命令でしか消せない。逃げながらの攻撃に徹するよう指示を与えているため今しばらくは大丈夫に思われるが、急ぐに越したことはない。


「中に入る。――女性にとっては辛い現場になる。すまないが、覚悟してくれ」


 真剣にうなずく百合や黒悠達を引き連れ、神楽は牧場の扉を勢いよく開け放った。

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