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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第六部 “和国・北洲の戦い”編②
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【第六部】第九十七章 空香溪谷の戦い①

――滝壺――



 滝壺の水面から突如巨大な龍が現れたことで、馬頭軍は大混乱に陥った。長蛇の列で進軍していたが、三々五々にその場から離れようとする者達が入り乱れた。


「お、お前ら逃げるな! 戻らないと――」


 馬頭が脅しで指揮を取ろうとするも、龍の大咆哮によってかきけされた。馬頭ですら肝を冷やす迫力だ。目の前には腰を抜かし立ち上がれぬもの達もいる。


(ま、前に通った時にはこんな奴いなかっ――)


 考える間など馬頭達には与えられない。


 いつの間にか辺りが暗くなってきた。上を見ると、一面積乱雲が立ち込めている。ポツポツと雨が降り、やがて土砂降りとなる。


「て、撤退だ! 撤退ぃっ!!」


 馬頭が叫ぶ必要もなく、皆、滝壺から離れようと必死になっている。だが――


「つ、津波!?」

「なんでこんなところで!?」


 滝壺の方から、視界全てを覆う高さの津波が襲い来る。その波に飲み込まれ、部下がこちらに押し流されてきた。


(こ、これはなんの悪夢だぁ!?!?)


 馬頭も波に飲み込まれ、元来た道を押し流されていった。


――崖上――



「こちらも直ちに攻撃開始だ!! 敵を崖上から攻撃しろ!! 退路を塞げ!!」


 法明が崖上に待機していた部隊に指示を出す。総攻撃が始まった。


 式神や護符による遠隔攻撃が下の谷間に乱れ飛ぶ。侍達は岩を落として敵を押しつぶしにかかっていた。


「法明様!! 嵐が予想以上に強くないですか!?」

「仕方無かろう!? 天候操作の予行演習など、敵にバラすも同義だ!! ぶっつけ本番にもなる!!」


 部下の叫びに叫び返す。風が強く、狩衣がはためいている。


(それよりも神楽だ!! 水流を操作して攻撃するとは聞いていたが、まさか津波を起こすとは!? 確かに敵の足をすくえてはいるが、馬頭の居場所がわからんではないか!?)


 普段冷静な法明ですらこれは想定外だった。敵をまとめて押し流す程の大規模攻撃などとはつゆ思わず。幸い、陰陽師達が退路を塞ぐのは間に合いそうではあるが。


(後でキツク言ってやらねば!! だが! 敵はより混乱しているようだ!!)


 谷間を逃げ惑う馬頭の群れ。波に足をすくわれながら崖上からの一方的な攻撃にさらされ続け、もはや応戦の余裕も無く、次々と討ち取られていった。


 

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