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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第六部 “和国・北洲の戦い”編②
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【第六部】第七十四章 出立

【鬼月まであと15日】

――富央城・三の丸――


――早朝。


 富央城三の丸の正門前に大軍が並ぶ。馬頭軍を空香溪谷で迎撃するための軍隊だ。総勢千五百におよぶ。


 その陣容は陰陽師千、侍五百となる。大将は陰陽師部隊の法明。侍大将の椿はここ富央城の守備にあたる。


 まだ早朝だというのに、気のたるみを見せる者はいない。和国では常在戦場。皆、整列して出立の号令を待っている。


 神楽達も今回、迎撃と留守番の二組に別れる。


――馬頭迎撃組。神楽、蛟、稲姫、青姫、レイン。


――富央城留守番組。琥珀、エーリッヒ、ラルフ、クリス。


 留守番組と言っても油断は一切できない。いまだ、南にも東にも敵はいる。いつ襲ってくるともしれぬのだ。


 加えて、妖獣の捕虜達のこともある。妖獣に憎悪を募らせる和国民は決して少なくない。保護している神楽がいなければ何が起こるかわからない。捕虜達の安全を守るのも留守番組の仕事だった。



「じゃあ、琥珀、みんな、頼むな?」

「ドンと任せるにゃ! ご主人もしっかり頑張ってくるにゃ」


 琥珀は一時落ち込んではいたものの、もうスッカリ元気だった。


 椿という剣術の師匠が見つかり、パワーアップの術を得られたのが嬉しくてたまらないのだろう。


 既に十分過ぎる程強かった琥珀だが、牛頭の側近達バワータイプとの連戦で力不足を実感していた。そもそも、ただでさえ強靭な鬼相手に一体多で無双すること自体が異常なのだが、琥珀はそんな慰めに納得はしない。


 常に高みを望み、また一つ壁を越えようとしていた。人間と同じ様に、刀――武器を使うことも厭わない。琥珀にとって、そこはどうでもよかったのだろう。強くなれさえすればなんでも。


 今は自信満々に任せろという言葉通りに、自らの胸をドンと叩いてみせている。気力に満ち満ちている。


「レイン、気をつけて。決して無理はしないようにね?」

「お前は負けず嫌いだからな。意地はらずにきちんと引き際は見極めろよ?」

「……わかってる。死ぬ気は無いから」


 エーリッヒ、ラルフ、レインもお別れを済ませている。普段、三人いつも一緒にいて離れ離れなど滅多に無い三人にしてみれば、今回の別行動は大事だ。


「クリスも、無茶はするなよ? 何かあったら<護符通信>でいつでも連絡をくれ」

「うん、わかった。ありがとう」


 クリスは仲間になって以来、ずっと神楽と一緒だった。元々は敵だっただけに、神楽のいないところで上手く周りと馴染めるかが神楽としては心配だった。


 仲間は皆気にしていなさそうだが、後ろめたさでクリスの方から距離を置くかもしれない。エーリッヒが気遣ってくれるだろうが、クリス自ら歩み寄れるか、今回の留守番で期待したいところ。

 

 神楽達が別れを済ませしばらくすると、法明から出立の号令が下る。


「じゃ、行ってくる!!」


 琥珀達に手をふり、神楽達は空香溪谷に向け出立した。


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