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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第六部 “和国・北洲の戦い”編②
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【第六部】第七十二章 その夜――鈴鹿御前と茶々①

――日城・天守閣――


 襖が控え目にノックされる。


「鈴鹿様。起きていらっしゃいますか?」

「起きてるわよ~。お入りなさいな」


 もう夜遅くだ。この時間に鈴鹿御前を尋ねてくる者は限られる。声で茶々が来たとわかるや、鈴鹿御前はいつものように部屋に招き入れる。


「失礼いたします、夜分遅くにすみません」

「気にしないで、起きてたし。どう? あなたも飲む?」


 鈴鹿御前は寝巻き姿であしを崩し、お茶をしていた。ちゃぶ台には、今しがた茶々のために戸棚から出した湯飲みがおかれていた。


 茶々が返事をするまでもなく、急須から湯飲みにお茶がこぽこぽと注がれていく。


「はい」

「ありがとうございます、頂きます」


 ここまでされて断るのは逆に失礼になる。茶々は湯飲みを受け取ると、ふーふーと息をふきかけ冷ます。そして、ちょいちょいと鈴鹿御前に手招きされたので、正座でちゃぶ台についた。鈴鹿御前とは向かい合っている。


「綺麗な星ね~」

「そうですね……って、そうではなくて、ご報告があるのです」


 鈴鹿御前に釣られ窓の外を見た茶々は、ハッとしてここに来た目的を思い出す。


「なにかしら?」

「一族の者からの情報ですが、富央城南の森で、怪しい者達が狩りのようなことをしていたとのことでして」

「怪しい者達?」

「はい。何やら、異国の人間と神獣の組み合わせだったとか」

「あらあら! 例の“協力者”じゃないの!?」

「はい。私もその可能性が高いと考えてます。銀髪の男と女、金髪の女、忍らしき装束を着た幼子――そして、妖狐らしき神獣がいたとのことです」

「なにそれ! 面白い組み合わせね~。――って、妖狐!? 妖狐が人間側に付いてるってこと?」


 さしもの鈴鹿御前も妖狐には驚く。妖狐の力の強大さはなにも人間だけが知るものではない。実力はピンキリとは言え、妖狐には玉藻の前のような特級危険度の者だっているのだから。


「ついているのか従わされているのかはわかりませんが、一緒にいたのは確かですね」

「はぇ~~……。妖狐が味方についたら、そりゃあ、人間達も気が大きくなるでしょうねぇ」

「それ程強力なのでしょうか?」

「個体差はあるけど、強力よぉ? ――ちなみに、尾の数はわかるかしら?」


 妖狐の力は尾の数に比例する。厳密には、妖狐の中でもいくつかの種類はあるが、総じて尾の数が多い程その力は強大になると見なされている。


 玉藻の前など、九本の尾を持つ。鈴鹿御前の知るところでは、これが最大値で玉藻の前以外には知らない。


 それまでハキハキ答えていた茶々が、ここで初めて言葉を濁す。


 

「それなのですが……三本から四本になったとのことです」

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