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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第六部 “和国・北洲の戦い”編②
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【第六部】第六十六章 出立前日⑩ 狩り①

――富央城・三の丸・正門前――



「んじゃ、出るか~。琥珀組は東。俺達は南な」


 空の荷車を引き、正門前に来た神楽達。今からふたてにわかれて狩りをすることに。


 自分達が食べる分と、捕虜の分の食糧調達だ。イワナガヒメ達の取り計らいで配給はあるが、今は戦時中で決して十分とは言えない。


 それに、和国民の中には、その配給自体に抵抗を覚えている者も多い。特に、捕虜への配給には、不満を隠さずぶつける者は少なくなかった。


 そんなこともあり、『なら、調達してこよう』と神楽が提案したのが半刻前。椿から周辺の地図をもらい、荷車も借りた。


『遊ばせている荷車だから、返さなくていい。有効に使ってくれ』


 そんな気前のよい椿に礼を言い、正門前に来たという訳だった。


 明日、神楽達は西に出立だからそれ程長くは狩りをするつもりはないが、今はまだ昼前だ。たっぷり時間はある。


 狩り効率化のため、二組に別れた。<肉体活性>ができて身体能力の高い神楽と琥珀が荷車を引くので、その二人がまず別れる。


 他の皆の班分けは適当に行きたい方に。元より皆、仲がいいのでそれ程もめなかった。――エーリッヒやラルフが仲立ちして上手く誘導してくれたのも大きいが。


 班分け結果は以下の通り。


――神楽班。


 神楽、稲姫、レイン、クリス、ねね


――琥珀班。


 琥珀、青姫、エーリッヒ、ラルフ、蛟


――そう。今回の狩りにはねねがついてくる。


 三の丸の屋敷に寄った際、見張り――というか留守番をしていたねねにどこに行くのかをたずねられ素直に答えたところ、行きたい行きたいとだだをこねられた。


『屋敷に見張りがいないのはなぁ』と神楽は難色を示したが、天井裏から朝霜組の胡桃(くるみ)――ねねの先輩で、歳はイワナガヒメや衛と同い年くらい――が現れ、『代わりにやっておくから連れて行って』と言ってきた。


『なんでそこにいた?』や『いつからそこに? え? 二重監視?』などツッコミたいことは山程あったが、ねね共々ぐいぐい背中をおされて屋敷を追い出された。なんとも強引だった。


 胡桃のことはよく知らないが、ねねの先輩を疑うのもアレなので信じることに。貴重品は皆、肌身離さず持っているし、それ程問題もないだろう。


 胡桃がなぜねねを神楽達に同行させたがったのかはわからないが、仲良くなって欲しいという気持ちがあるのかもしれない。


――まさか、罠ではないだろう。そう信じたい。


 ねねが嬉しそうに自分の手を取るのを見下ろし、神楽は(考えすぎか)と思い直す。短い付き合いではあるが、ねねの気心は知れている。連れて行くのはやぶさかではないのだ。



「いいか、ねね? ちゃんと言うことを聞くんだぞ? 外は危ないからな」

「承知でござるよ! 殿!!」



――何はともあれ、正門を出て神楽達は狩りに向かった。


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