表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第六部 “和国・北洲の戦い”編②
412/494

【第六部】第四十五章 レインの主張②

――富央城・本丸・仮設指令所――



(あれ? なんでこんなことになってるんだっけ?)


 神楽は目の前の騒ぎを見ながらそんなことを考えてしまう。


 琥珀が留守番を了承してくれた。――よかった、よかった。で終わるはずが、今や琥珀も前言を撤回してしまいそうな流れだ。


「レインだけずるいにゃ!!」

「……適材適所。今回は魔法戦だから。私は飛べるようになったし」

「うぅ~~~! ご主人も言ってやって欲しいにゃ!!」


 琥珀に話を振られてしまった。神楽としては答えにくい。


 迷っていると、エーリッヒ、ラルフから声が上がる。


「こんなこと初めてだ……。ラルフ……」

「レイン……お前、“本気”か? 死ぬかもしれねぇんだぞ?」

「……もちろん。でも、死ぬつもりは無い。安心して」

「安心できる訳無いだろう……?」


 エーリッヒは頭をガシガシかいて困っている。これも珍しい光景だった。


 そんな皆が困り果てた時、青姫から声が上がる。



「――はぁ。レインよ、わらわと一緒におるか?」

「青姫?」


 青姫がため息混じりにした提案をエーリッヒがとがめる。青姫はわかっていると言わんばかりに片手を上げて制した。


「レインの言うことにも一理ある。それに、実力の高さもわらわはよう知っとる」

「だからって――」

「不安か? レインがおらぬと」


 どこか挑発的な青姫の物言いに、エーリッヒは思わず黙り込んでしまった。ラルフも沈黙している。


「レインも自身でよく考えての意見じゃろ。子供でもない。――そうじゃろ、レイン?」

「……そう。これは、“青ノ翼”のためでもある」


――“ギルドのため”。レインから普段出そうに無い――というより、エーリッヒやラルフは初めて聞いた言葉だった。


 普段なら喜ぶべきところだが、この戦時下ではエーリッヒは複雑な想いだ。


 ラルフがレインに尋ねた。


「『生きて帰る』って約束できるか?」

「ラルフ?」

「まぁ、聞け。レインの言う通り、俺達はこのままじゃダメだ。強くならないと」

「なら僕らも――」

「俺達には俺達のやるべきことがある。――今回は、“向き不向き”が違って別行動するだけだ。そうは考えられねぇか?」

「………………」


 ラルフに諭され、エーリッヒはしばし考え込む。レインはその様子を黙ってジッと見守っていた。


 やがて、エーリッヒは青姫に向き直る。


「青姫……()()()かい?」

「全力を尽くそう。――じゃが、戦場に絶対は無い。それはわかっておろう?」

「うん、わかってる。――レイン。約束。必ず無事に戻ってくること」

「……わかってる」


 神楽が口をはさむ間も無く話がまとまってしまった。


――涙目で苦情を訴えてくる琥珀の視線が痛い!


「ま、まぁ、向き不向き……だな」

「……必ず役に立ってみせる」

「うぅ~~~……!! 留守番中にご主人をアッと驚かせるだけの力をつけるにゃ!! 覚えとくにゃ!!」


 琥珀も不承不承ながら承諾してくれた。――“納得”とは程遠そうだが。


 何はともあれ、レインが馬頭迎撃戦に参戦することが決まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ