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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第六部 “和国・北洲の戦い”編②
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【第六部】第四十四章 レインの主張①

――富央城・本丸・仮設指令所――


 琥珀の留守番が決まったところ。それまで黙って事態を見守っていたエーリッヒ達から声が上がる。


「僕らはどうしようか?」

「エーリッヒさん達は、琥珀と一緒にこの城を守っていてもらえますか?」

「そうだね。ここの守備も必要だしね」

「おう。戦で勝っても『帰る場所奪われました』じゃ話になんねぇからな。――レインもそれでいいだろ?」


 ラルフからの問いかけは単なる確認によるものだった。


――だが、レインは……。



『……()()、神楽に付いていく』


 その言葉が出るとは思わず、場が凍った。その表現がしっくりくるくらい、場を沈黙が支配した。


 さしものエーリッヒ達ですら絶句だった。真っ先に気を取り直したエーリッヒがレインに問う。


「いやいや、レイン。らしくないよ? 今、琥珀が涙を飲んで留守番をするって言ったところでしょ? それに――」

()()()()()


 エーリッヒの発言をレインが力強く遮る。再び場が静まった。レインが不器用ながら自分の想いを紡ぐ。


「この国に来てよくわかった。私……達は弱い。この国の人達よりも。妖獣よりも。……このままじゃダメ。私は、私達は、もっと強くならなくちゃダメ」


 それは、奇しくも、エーリッヒとラルフが感じていたことでもあった。一介の兵に遅れを取るとは思っていないが、一線級の者達には遅れを取ると理解しているのだ。


 レインはなおも想いを皆に伝える。


「……私は術が得意。特に水と氷が。――それに、<飛行(フライ)>だって使えるようになった。つい最近だけど」

「いつの間に……」


 エーリッヒが驚きの声を上げる。レインは<飛行(フライ)>を習得していた。これは、風属性の上級魔法で、習得には相性が大きく影響する。


 風属性はレインの得意属性ではない。なのに、事も無げにその上級魔法を習得したと言う。


 レインの魔法の才は、言わずもがな、同じギルドのエーリッヒやラルフも認識、理解はしている。だが、こればかりは、並々ならぬ努力が無いと成し得ない成果だと言えた。


――実のところ、レインは中つ国にいた頃から<飛行>の習得に励んでいた。というのも、()()したのだ。<宵の明星>のクレハに。


 自分よりも優れた魔法の使い手に出会ったのは、実のところあの時が初めてだった。


 羽を生やした神楽と空中で追いかけっこをしているクレハを見て()()した。“()()()”という、今まで感じたことの無い感情がレインに芽生えた瞬間だった。


 それを動機にして()を越えてしまうレインも十分に天才である訳だが、本人にその自覚は無い――と言うよりも、()()にしか興味が無かった。


「……私は必ず役に立つ。立って見せる。――だから、連れて行って?」



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