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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第六部 “和国・北洲の戦い”編②
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【第六部】第三十二章 後城の支配者

――富央城・本丸・仮設指令所――


 ねねを連れて忍の一人が部屋を出た。とにかく会議の続きをと椿が話を再開した。


「まぁ、そんな訳で、馬頭の出立を忍が視認して報告を入れてくれたのだ。情報は確かだろう」

「数と構成は?」

「その者も敵に気付かれないよう遠くから確認しているのでな。さすがに全容を把握している訳ではないが、数はおよそ二千とのことだ。牛頭同様、多様な種族の混成部隊だが、中核となるのは馬頭を筆頭に馬鬼や馬の神獣達だな。それと、なぜか小鬼の数がやたら多かったらしい」


 椿がそう説明すると、諸将からざわめきが起きる。


「二千……」

「一月前の富央城戦ではそれ程の数はいなかったはずよな?」

「ああ。それに、結構な数を殺した。――なのに、むしろ増えてる?」

「戦力を温存してたとしか。後城には馬頭以外に()()()()もいるだろ。警戒して残してたとか」


 話の中に気になる単語が混じっていた。神楽が椿に尋ねる。


「西には馬頭以外にも勢力がいるのか?」

「ああ、いるぞ。隠していたわけではないがな。昨年、裏鬼門から出てきた強力な鬼共――金鬼(キンキ)風鬼(フウキ)水鬼(スイキ)隠形鬼(オンギョウキ)だ。我々は奴らを四鬼(ヨンキ)と呼んでいる」



 椿からの説明をまとめるとこうだ。


 昨年の鬼月に裏鬼門が開き、鬼の大群が西に流れ込んだ。当然のごとく人界軍は抗戦したが、中央や東にも戦力を割く必要があったため十分な戦力が無く、やがて数に押し込まれていった。


 敵の中には強力な鬼も多数おり、その多くを討ち取りはしたものの、特に強力だった四鬼については倒せていない。


 最終的に後城を放棄せざるを得なくなり、生き残りは血路を開き中央の富央城に逃げ延びた。


 そして、後城を外から監視させている忍から、四鬼と馬頭が入城して居着いているとの報告が入った。


 敵の中にも力関係はあり、馬頭より強い四鬼は本丸と二の丸――中心部に、馬頭は外縁の三の丸に居着いている。


「馬頭が富央城に執着するのは、自分だけの城が欲しいからなのかもしれないな」


 椿がそうまとめる。


 椿の話の最中、悔しそうに唇をかむ者、憤りを隠さず怒りに顔を歪める者は何人もいた。


(西部にいたのかもな……彼らにとって、まさしく仇敵なんだろう、奴らは)


 あまり踏み込んで聞くのもためらわれたが、敵の規模や能力を知ることは重要だ。昨日それで痛い目を見た神楽としては、聞く必要がある。


「知っている範囲でいいから、馬頭と四鬼について能力や兵力を教えてくれ」

「ああ。知っている全てを伝えよう。――と言っても、危険性を考慮し諜報のほとんどは城外から行わせている。今もそうかはわからんがな」



 昨日青姫に詰問されたのがこたえたのだろう。椿はそう前置きして神楽達に説明を始めた。

 

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