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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第六部 “和国・北洲の戦い”編②
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【第六部】第三十一章 朝霜組と落陽組

――富央城・本丸・仮設指令所――



「み、見苦しいものを見せたようだ。すまない……」

「まったくこの子は! 身内の恥で羞恥を感じたのは初めてよ!!」

「まぁまぁ、(カスミ)さん。――はい、ねねちゃん。アメあげる♪」

「おぉ!? 感謝でござるよ姫!!」

「こら! ――ダメ。本当に恥ずかしいわ……」


 椿は苦笑い気味で、大人のくノ一――霞は顔を真っ赤にして、そしてイワナガヒメはニコニコとしている。


 天井から落っこちて来た幼女――ねねは、霞と同じ忍装束を着ていた。


――というより、実のところ神楽は()()()にねねと知り合っていた。



「というか、神楽。いつから気付いて――いや、知り合っていた?」

「留城の屋敷でな。だって、飯食ってる時に、天井から腹の音が――」

「せ、拙者(せっしゃ)の恥を広めないで欲しいでござるよ、殿ぉ!?」

「ねね! あんた、『最近ねねの血色がいい」って隊で噂になってると思ったら、見張りどころかご飯をごちそうになってたの!?」

「だから言ったのに、頭領」

「ね~。『絶対買収されてる』って言ったのにね」

「し、仕方無いでしょう!? うちは常に人手不足なんだから!!」


 いつの間にか、女の忍――くノ一達がどこからかワラワラと集まってきた。


 普段からねねを可愛がっているのだろう。神楽に抱かれたままのねねのほっぺを指先でつんつんし、「や、やめるでござるよぉ!?」とねねがジタバタ暴れる。


 ねねはまだ幼い。前に飯を一緒に食べながら神楽が聞いたところ、9歳とのことだ。


「まぁ、そんな訳で知ってたんだよ、俺達は」

「全く……これでは、我々がバカみたいだ……」


 椿のぼやきにうなずく将は多かった。



「気を取り直して……紹介しよう。もう知っているかもしれないが、忍組織――朝霜組(あさしもぐみ)だ。こちらは、頭領の(カスミ)

「はいは~い♪ よろしくね~」


 忍らしくない陽気な返事を返す霞は色香漂う大人のくノ一だった。身体の凹凸がはっきりしてスタイルがよく、キツメの忍装束がそれをさらに際立てている。口元は布で覆っておりわからないが、あらわになっている目などは二重でパッチリしていた。


 そんな大人の女性を体現する霞の姿は、年頃の青少年には目の毒だろう。神楽としても、なんとなく直視ははばかられた。


「よ、よろしく……」

「あ、頭領に見とれてますぜ、この少年」

「あらやだ♪ 私もまだまだいけそうね。どう? この後――」

「神楽様。忍組織はもう一つありまして、今は任務で外に出払ってますが、長門が頭領の落陽組(らくようぐみ)もあるのです」


 神楽に色目を使おうとする霞だが、イワナガヒメが前に出てシャットアウト。


 ねねから話は聞いてはいたが、忍組織はもう一つあるとの説明がなされる。


 特色としては、男は長門率いる落陽組、女は霞率いる朝霜組に振り分けられるとのこと。


「なんで男女を分けるんだ?」

「色欲は忍の敵だからね~。任務に生きるのよ、忍は」

「そんなことはない。結婚している忍は多数」

「頭領は――」

「私は仕事に生きてるの!! 男は不要なのよ~~~!?」


 どうやら地雷を踏んでしまったようだ。霞が泣き出してしまった。


「ま、まぁ、うん。とにかく、忍部隊が諜報に出てくれていてな。後城付近にも潜伏している者がいて、馬頭の出立についても早々に知ることが出来たという訳だ」



 少し疲れた表情をした椿が、少し強引にそうまとめるのだった。


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