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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第六部 “和国・北洲の戦い”編②
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【第六部】第十八章 富央城奪還戦後報告会③

――富央城・本丸・仮設指令所――



「妖獣との対話ですと……? ……法明様は、いたくお疲れのご様子」

(しか)り。やはり、急ぎとは言え戦果や被害の報告会は明日でもよかったのかもしれませぬな。日城の奪還作戦会議は明日催す訳ですし」


 法明が思い切って妖獣との対話の可能性について話を持ち上げたが、やはりというべきか諸将は本気には(とら)えない。


 相手が法明であるゆえ罵詈雑言は向けようもないが、遠回しに正気の発言ではないとしてまともに取り合わない。


 四年間に及ぶ長期間、ずっと戦い続けてきた怨敵(おんてき)なのだ。和国民にとって。簡単にうなずける話ではなかった。


 だが、やはり、イワナガヒメだけは賛同しないまでも法明に訳を聞く。


「神楽様でも妖獣と口論になったのでしょう? その後、何かあったのですか?」



「確かに恨みのぶつけ合いとはなりました。どちらの意見も否定しようの無い事実なので、話自体も平行線に」


 法明は、なんとか考えをまとめつつ、イワナガヒメに説明を続ける。


「ですが、その後、捕虜について今後の扱いの話に移りますが……あの神楽は、捕虜に対する――妖獣に対する扱いとは到底思えぬ、家族や仲間に向けるような接し方をするのです。――直前まで恨みをぶつけ合っていた相手にも関わらず」

「理解し難いあまちゃんですな」

「妖獣達をつけあがらせるだけというのがわからんのでしょう」

「やはり、まだ子供か」

「静かに! ――法明、続きを」


 またも騒ぎ出そうとする諸将だが、イワナガヒメの叱責で黙り込む。


「その結果、やはりと言うべきか妖獣達は戸惑っていました。理解できないと訳を聞くと、神楽からの答えは『だって対等な関係だろ』と。『人間同士だって口論にはなる』と。――それを聞いた妖獣達が、ほんの少しですが態度を軟化させたのです」

「なるほど……つまり法明は、わたくし達も妖獣達と話し合うべき……と?」

「ここまでお互いに血が流れ過ぎていればそれが非現実なのはわかってはいますが……敵を減らすことは可能かもしれないと考えさせられました」



 法明がそこまで言うと、場は沈黙による静寂で満たされた。


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