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【第一部】稲姫の記憶編 後編 幕間【二】憤り
稲姫の口から当時起きた惨劇を聞いたアレン達は、皆、あまりの酷さから口をつぐむ。
「ごめんね。辛いことを思い出させちゃって」
そう言うとエリスは、肩を震わせる稲姫を背後からそっと抱きしめた。
「そいつ、許せないな」
これはカールだ。他人のことなのに自分のことの様に怒ってくれている。
そしてアレンも――
“奇怪な仮面をつけ、マントを羽織った少年”。そいつの話を聞いた途端、途轍もない怒りに襲われた。こいつは、俺とも直接の因縁があるに違いない。
「――仮面……。そうだ。昨日の襲撃者達も仮面をつけてたな。稲姫が『襲撃者が何者か予想がついてる』って言ってたのは、それでか」
「まさか、あの時の……？」
そう言って考え込むのは琥珀だ。普段の明るさが鳴りを潜め、眉をひそめている。
「でも、そこからはうちも知ってるにゃ。稲姫ちゃんとは、ご主人の一族の住まう村里で、初めて出会ったから」
――そこからは、稲姫と琥珀の二人が情報を補い合い、語り聞かせてくれた。
