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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第六部 “和国・北洲の戦い”編②
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【第六部】第二章 エリス、カール、クレア

――リムタリス協会支部前――



「ねぇ、君。一人? 見たことない顔だし、新人だよね?」

「俺ら、シルバークラ――」

「立ち去りなさい」


 シルバークラスの青年二人は、茶髪ツインテールの少女に話しかけていた。


 だが、しゃべりかけている最中に不機嫌そうな少女から拒絶の言葉で遮られる。


 青年二人は思わず互いの顔を見合わす。


 シルバークラスは全体で見たらそれ程優秀という訳ではないが、新人からしたら悪くないはずだ。


 一番下のブロンズからシルバーに上がるのだって、普通にやっていれば相当に時間や実績が必要となるし、一気にシルバーから始められるのはメリットのはずだ。


 現に、他のシルバークラスに勧誘された新人達は嬉しそうな顔をしている者ばかりだ。


 しかし、不満があるということは、シルバーじゃものたりない。ゴールド以上でないとってことでは?


 青年二人は、何歩か後退し、小声で話し合う。


(お高くとまりやがって……ちょっと、いや、だいぶ可愛いからって)

(もうちょっと押してみるか? 強引なのを実は待ってたり?)


 青年二人はうなずき合うと、再び彼女に向け歩を進め――ようとして、その場を飛びすさった。


 直後、炎の玉がすぐ近くの地面に着弾した。


 青年二人は信じられないものを見る目で少女を見る。



「わたし、立ち去るよう言ったわよね……?」


 たった今炎の玉を無詠唱で飛ばしてきた少女は、たいそうご立腹だった。笑顔でキレている。


 よく見ると、地面の焼け焦げは、少女の周りそこかしこにある。


 先人達がいたのだ。自分達と同じように追い払われたのだ。


(や、やべぇぞコイツ!!)

(関わっちゃいけないやつだった!!)


 青年二人は尻餅をつきながらジリジリ後退し、やがと全力ダッシュでその場を立ち去った。


 少女がため息をつく。


「全く……これも、連絡を寄越さず行方をくらましたアレンのせいね……。ふふ。この責任も取らせなくちゃ」


 少女が楽しそうに笑うだけで、周りのエクスプローラー達がどん引いた。


「や、やべぇぞ……!」

「笑ってらっしゃる!?」

「協会が火の海に!?」


 先程の青年達と同様、むげに追い払われた者達だ。なんとなく気になって、少女を遠巻きに観察していた。


 また少女が待ちの姿勢に入った。だが、ようやく目的の人物達が現れた。



「エリス~! 悪い、待たせたな!」

「ごめんねエリスちゃん」

「遅い!! ――で、どうだったの? って、聞くまでもないか」

「もちのろん!!」

「受かったよ~!!」


 茶髪の少女――エリスの元に、金髪の少年――カールと、緑髪の少女――クレアが現れた。二人とも、嬉しそうにピースサインを決めている。


 エリスも掲示板で合格を確認したが、エリスを勧誘しようと、先輩エクスプローラー達――主に男――が大勢押し寄せたのだ。


 邪魔になるからと距離を取って、新たにわいてくる勧誘を魔法で蹴散らしながら、二人が確認を終えてこちらに来るのを待っていたと。つまりはそういう訳だった。


「二人ともおめでとう! じゃ、このままギルド申請行くわよ!」

「おう!!」

「ええ!!」


 エリスは二人の合格を疑ってはいなかったが、やはり二人の嬉しそうな顔を見ると嬉しい。



 先程までの不機嫌さが嘘のような満面の笑みで、二人とギルド申請をしに協会の門をくぐるのだった。


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