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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第六部 “和国・北洲の戦い”編②
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【第六部】第一章 エクスプローラー試験合格発表

【新暦1076年・神楽達が和国北州に流れ着いた頃】

――リムン国・首都リムタリス・エクスプローラー協会支部――


 ここは、リムン国の首都リムタリス。その西エリアのビジネス街に、一際大きな建物がある。


――“エクスプローラー協会支部”


 交差する剣と杖。そして、その後ろには自由の象徴として翼が象られている。そんなエクスプローラー協会を示すシンボルマークが協会の頂きで存在感を放っていた。

 

 協会の内も外もガヤガヤと騒がしい。


――そう。今日は年に一度催されるエクスプローラー試験の合格発表日だった。



 協会の外に大きな掲示板が設えられており、その前に受験生達が大勢集まり、自分の受験番号を必死に探している。


 そして、歓喜する者。落胆する者。運命――いや、試験は残酷だ。結果は合格か不合格かしかない。


 年に一度しか試験は開催されないため、この試験に皆、並々ならぬ熱意を注いでいる。


 掲示板前では歓声や悲鳴が入り交じり、受かった者は、すぐ近くで品定めをしている先輩エクスプローラー達に狙われる。


――そう。自分達のギルドに入るよう、先輩エクスプローラー達は新人を勧誘しようとしているのだ。


 そのため、毎年のことながら、合格発表のこの日だけはお祭りのような大騒ぎになる。


 仲間内でギルドを立ち上げる者。先輩からの勧誘を受ける者。逆に自分から先輩に売り込む者。その選択は自由だ。当人に任されている。


 ギルドとひとくくりに言っても、その序列ははっきりしている。実績をあげればあげる程、上位クラスとなり、協会からの支援や名声が得られる。


――クラスは六区分されており、上から順に、以下の通り。


 “パープル”

 “ブラック”

 “プラチナ”

 “ゴールド”

 “シルバー”

 “ブロンズ”


 立ち上げられたギルドはもちろん、一番下のブロンズクラスとなる。今も、その証であるブロンズのエンブレムを受付から受け取り協会から出てきた四人の若者達がいる。


 皆、これからの旅立ちに期待をふくらませ、その表情はすこぶる明るい。


 また、掲示板の脇では、ゴールドクラスに勧誘されているガタイのいい青年もいた。


 先輩となる者から背中をバシバシ叩かれ手荒い歓迎を受けているがその顔は明るく、周りの者達もうらやましそうに見ていた。



 そして、掲示板から反対側に離れたところでポツリと一人立っている少女がいた。そこはちょうど騒ぎに巻き込まれないギリギリの位置であり、掲示板で騒ぐ受験生を退屈そうに眺めていた。


 茶髪ツインテールで目はつり目気味。だが、紛れもなく美少女と評されるだろう彼女は手持ちぶさたのようだ。


 紺色のローブを羽織り、茶色いブーツをはいている。そして、右手には大きな杖を持っていた。暇なのだろう。口元に手を当てて小さくあくびをしている。


 掲示板近くで勧誘をしていた青年の一人が彼女に気付く。



「なぁ? あの子、可愛くね?」

「おぉ!? だな!♪ 誘おうぜ!!」


 同じギルドのメンバーで、同じく新歓に励んでいる青年の肩をつついて伝える。


 その青年も彼女を一目見て気に入ったようだ。青年二人はニヤリと笑い合うと、手持ちぶさたの彼女の元へ、スキップするかのごとく上機嫌な足取りで勧誘に向かうのだった。



――そして、青年達は本日もう何度目になるかわからぬ“悲劇”に見舞われるのだった。


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