表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第五部 “和国・北洲の戦い”編①
361/494

【第五部】第九十章 【琥珀・過去編】⑦

【翌日】

――長老富岳の屋敷――



「神楽……お前は、また里を出たのか!」

「ちょ! 暴力反対!!」

「みゃあ!!」


 翌日、朝ごはん――とてもおいしかった!――の後、子供に連れられて大きな屋敷に行った。


 そうしたら、急に老人が子供をぶとうとしたので、怒って間に入った。


「――! むぅ!!」

「ちょ! 危ないだろ!?」


 すんでのところで老人が手を引っ込める。守ったはずの子供が急に自分に怒りだして訳がわからない。


「まぁ、よい。今回は許してやる。――その子の名は?」

「そう言えば……お前、名は?」

「ナ?」


 聞かれてる意味がわからず首をかしげる。


「名が無いのか……。神楽、お前が名付けろ」

「え!? ――俺!?」

「そうだ。一緒に住むなら、名が無いと不便じゃろ。今すぐでなくともよい。しっかり考えて名付けるのだ」

「は、はい……」


 そうして、用が済んだのか、子供は自分を連れて家に戻った。


――神楽の家――



「ナってなに?」

「あらあら。名前のことかしら。――神楽?」

「オレが名付けることになった」

「え~。お兄ちゃん、だいじょうぶなの?」


 家に戻ると、優しい女の人――たくさんおいしいごはんをくれる――に聞いてみた。どうやら、“なまえ”というものらしい。


「かぐら?」

「そう。それがオレの名前。――で、こっちが春。こっちが楓」

「母親を呼び捨てはどうかと思うわよ?」

「し、仕方ないだろ!? 説明してるんだから!」


 よくわからないが、覚えた。順々に指差して言ってみる。


「かぐら」

「おう!」

「はる」

「ええ。よく出来ました!」

「かえで」

「うん! よろしくね」


 なんか嬉しかった。そして、自分を指差して止まる。かぐら――神楽が笑ってそんな自分に声をかけてくる。


「“それ”を今から決めるんだよ。――というか、実はすでに考えてたり」


 神楽はこほんと咳払いして自分を指差した。


「今からお前は“琥珀”だ! こ・は・く! ――言えるか?」

「こ・は・く!」

「あらあら。宝石から取ってるのね? 素敵じゃない」

「お兄ちゃんにしてはまともだね。――そうだね。綺麗な琥珀色の髪をしてるし、ピッタリだね!!」


 よくわからないが、自分の“なまえ”をもらえて嬉しかった。


「こはく! こはく! こはく!」

「はは! 気に入ってもらえたか!!」

「琥珀ちゃん。もういい時間だし、お昼にしましょうか?」

「琥珀ちゃん。食器の用意、一緒にしよう?」

「うん!!」


 自分を指差して何度も言う。皆がその名で呼んでくれる。



――自分が皆と一緒になれたようで、嬉しかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ