表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第五部 “和国・北洲の戦い”編①
338/494

【第五部】第六十七章 富央城攻略戦③

◆◆◆


 一月前、妖獣達は大群で富央城に押し寄せ攻め落とした。妖獣達の派閥は複数あるが、その内、城に攻め寄せたのは三派閥だった。


 牛頭(ゴズ)の率いる群れ。馬頭(メズ)の率いる群れ。そして、椿の言う女型の鬼――鈴鹿御前(スズカゴゼン)の率いる群れだ。いずれも“鬼”が率いている群れだった。



 牛頭は二年前の鬼月に鬼門から現れた鬼であり、元は東の室城(むろじょう)を占拠していた。


 また、馬頭は昨年の鬼月に裏鬼門から現れた鬼だった。他の鬼や妖獣達と共に西の後城(ごじょう)を占拠している。


 そして、鈴鹿御前は三年前に本州連絡大橋を通って北州に現れた鬼であり、南の日城(にちじょう)を占拠している。


 この三鬼が鬼月でもない先月に富央城を攻めたのには理由がある。



 牛頭は昨年鬼月から現れた“新たな鬼”に室城から追い出され、富央城との間にある簡素な砦に群れを率いて移り住んでいた。その鬱憤はたまる一方で、自分の城を欲していた。


 馬頭は住みかを追い払われてはいないものの、後城を他の鬼達と区分して住んでいることに不満があり、自分の城を持つという野心を抱いていた。


 その二鬼が結託し、“早い者勝ち”というルールを設けて共に富央城に攻め込んだというのが、椿達も知らない背景だった。


 なお、鈴鹿御前が参戦したのは、牛頭と馬頭に請われてだ。自分達の戦力だけでは不安があり、鈴鹿御前の支援を得るため、牛頭と馬頭は、鈴鹿御前にある取引を持ちかけた。


 その取引とは――

 


――競走は牛頭と馬頭のみ。だが、そちらが支援してくれるのであれば、その対価として、富央城にある金品は好きなだけ差し出す。そちらは、城の正面に陣取り陽動となってくれればいい。


 というものだった。


 元より鈴鹿御前は金品に目がなく、それを噂で知っていた牛頭と馬頭からの取引だった。


 鈴鹿御前もそれを受諾し、群れを率いて富央城正面である南に陣取った。そして、人界軍がそちらに気を取られている隙に、防備の薄くなった東と西から、それぞれ牛頭と馬頭が城内に攻め込み、富央城は落城した。


 そして、最初に天守閣にたどり着いたのは牛頭であり、富央城を占拠した。馬頭は当初憤ったが、武具や食糧などの戦利品を牛頭から多めに分けてもらうことで納得し、西の後城に引き上げた。


 鈴鹿御前は約束通りに富央城の金品をもらい――根こそぎ奪ったという方が近いが――南の日城に引き上げたのだった。



 自分の城を持ちうかれていた牛頭だが、今、和国民達の怒りを一身に引き受けようとしていた。


◆◆◆


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ