表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第五部 “和国・北洲の戦い”編①
335/494

【第五部】第六十四章 そして富央城に

――富央城への道中――



「いや。おかしいだろう!? ――それとも、それがそちらの常識なのか……?」

「いや、まぁ、言いたいことはわかるが、そうなんだから仕方ないだろ?」


 激しくツッコミを入れ、椿は額をおさえる。だが、神楽としては、そういうものみたいと答える他無い。諦めたのか、椿は小さくため息をつくと、気を取り直して神楽に向き直った。


「しかしまぁ、その力のおかげで敵を奇襲できる訳だしな。ありがたいことだ」

「うむ。もっと感謝しろ」

「こら、調子に乗るな」


 そんなこんなで、神楽達は富央城へと引き続き歩を進めた。



「今回の奇襲作戦とやら、流石に無謀ではないかのう?」

「まぁもう決まったものは仕方ないにゃ。うちと青姫ちゃんでご主人を守るにゃ」


 神楽達の少し後ろを青姫と琥珀が歩いていた。青姫が心配そうに不安を口にするが、琥珀はサバサバとしている。


(楽観か豪気か……。しかし、琥珀の言う通り、もう引き返せそうもない。琥珀と二人で何としても我が君を守るしかないのぅ……)


 前後は数千の軍隊に挟まれている。今更怖じ気づいてやはりやめるなど進言できるはずもなかった。


 青姫は不安を抱えながらも、ただひたすらに皆と富央城を目指した。


――富央城近隣の森――



「椿様。もうそろそろです」

「そうか。――神楽」

「わかってる。――青姫、琥珀。行くぞ」

「相分かった」

「了解にゃ!!」


 伝令が時が来たことを伝えにくる。神楽達は皆で顔を見合わせ、うなずき合う。


 神楽は<形態変化―翼―>で背中に羽を生やすと、近くにいる椿を背後から両腕で抱き抱えた。


「バカ! どこを触っている!?」

「いや、しっかり持たないと落ちちゃうだろ?」


 神楽は椿の胸の下辺りを両腕でロックしたのだが、椿は慌てて顔を赤くし不満そうだ。


「仕方ない……腕を出せ。そう、そんな感じだ。これでいこう」

「は!? ――いや、こっちの方がおかしくないか!?」


 椿が体勢を変え、両腕を神楽の首に回す。そして、神楽は椿の腰辺りと膝裏を腕で支える。


――つまりは、お姫様抱っこだった。



「青姫ちゃん……。“敵”はここにもいると思うにゃ」

「落ち着くのじゃ琥珀。こんなことで目くじら立てても仕方なかろう? ――後で我が君を折檻すればよい」



 そんな不穏な二人の会話に背筋を凍らせながらも、神楽は天守閣にいるだろう牛頭奇襲のため、四人で早朝の空に飛び立つのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ