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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第五部 “和国・北洲の戦い”編①
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【第五部】第五十九章 【過去編】②団子屋

――“御使いの一族”の里・団子屋――



「いらっしゃいませ~!!♪ ――って、なんだ、お兄ちゃんか」

「おい、露骨にがっかりするなよ。結構人数いるが、大丈夫か?」

「うん! 追加の席を用意するね? 今日は晴れてて気持ちいいから、外の方が見晴らしがキレイでいいよね? こちらにど~ぞ~♪」


 皆を連れて団子屋に来た神楽。そこは楓の働いている店だった。神楽達は結構な大所帯で来たが、従業員達がテキパキと外に追加の席を手配し、ほとんど待たずに席まで案内された。


 そして、皆、思い思いの席に座り、注文した大量の団子が席に来ると、一斉に食べ始めた。



「か~~~っ!! ウマイ!!」

「確かにおいしいわね。――って、ガイル! あんた、お酒飲んでんの!? まだ昼だし、ダンゴはお菓子よ!?」

「いいじゃねぇか! 細かいことは言いっこ無しでよ!!」


 団子に絶賛のガイル。その気持ちのよい称賛っぷりに、楓達従業員は皆、笑顔だ。


 クレハの言う通り、まだ昼なのにガイルは酒を飲んでいた。――便乗してか、朱雀や白虎、琥珀、ラルフも。


 皆、とても美味しそうに食べたり飲んだりしているので、従業員達もニコニコと酒を注いだりしている。


――まさかの、団子屋での飲み会と化していた。



「ほれ、ピノ。あ~ん……」

「――――っ! おいしいですの!♪」


 一方、こちらは青姫とピノ。ピノが“鳥人(ハーピー)”で、腕が羽で串を取りにくそうなので、青姫が手ずから団子をピノの口まで運んであげている。


 ピノはニコニコと嬉しそうに団子を次々と食べていく。様々な種類の団子があるが、ピノのお気に入りはみたらしのようだ。


 嬉しそうに手羽をパタパタとさせている。なんとも微笑ましい光景で、神楽も口元をゆるめながら近付いていった。


「そういや、ピノ。手が羽だと、いつも食事に困らないか?」


 神楽が声をかけると、ピノは口の中の団子を飲み下してから笑って答えた。


「小さいのは難しいけど、ある程度は持てますの!」

「へ~。器用なんだな」


(鳥ってクチバシでついばむが、ピノには無いしな。それで発達したのかな?)


 神楽はピノの身体を見回す。すると、青姫がジト目で注意してくる。


「我が君。女子の身体をジロジロ見るでない」

「――あ! ごめん……」

「見たいなら、今夜にでもわらわのをたっぷりと見るがよいぞ!!」

「台無しだよ!!」


 そんな漫才のようなやり取りを神楽と青姫が繰り広げていると――


「ピノの身体……()()()()変ですの?」


 ピノがしょぼんとしていた。『あっ!』と、急に態度を改める神楽と青姫。


「悪い! そうじゃなくて、珍しいからさ、幻獣って」

「そうじゃぞ? な~んにも変じゃない。珍しくてつい見てしまうだけじゃ。それに、わらわはキレイな羽に思うぞ?」


 青姫にほめられ、ピノも少しだが機嫌をなおしてくれた。


(そりゃあそうだよな……。みんなからジロジロ見られたら、やっぱ嫌だよな)


 これからは気を付けなければと、神楽も反省する。



 この時の神楽は、すぐこの後、自分がピノの気持ちを実際に()()することになるとは、夢にも思っていなかった。



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