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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第五部 “和国・北洲の戦い”編①
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【第五部】第四十九章 作戦会議②

――留城・本丸・作戦会議室――



 椿から、作戦会議の主題が、“妖獣支配領域への侵攻作戦”だと告げられる。今さっきまで、妖獣軍に劣勢を強いられているという話がされていただけに、逆に攻め込むというのは、夢物語のように思えるだろう。


(いや、もうそれしかないってことだな……)


 北州には、人界はもうほとんど残されていない。鬼月に鬼門と裏鬼門が開いて鬼共がさらにわいて出れば、守勢に回るだけではジリ貧となり押し込まれるだろう。


 周りを見れば、皆、決意に満ちた表情をしている。


(泣いても笑っても、次で命運は決まるってことだな)


 神楽も、今一度決意をあらたに会議にのぞむのだった。



 椿が、侵攻作戦の概要説明を始める。他の者から手渡された指示棒を手に、地図上のとある箇所を指し示す。


「次の鬼月まで、もう時間が無い。だが、それまでに“本州連絡大橋”はおさえておきたい」


挿絵(By みてみん)


 本州連絡大橋は、北州の南端にあった。つまりは――


「本州からの増援を断つのだな? しかし、鬼門と裏鬼門からも鬼の増援があるだろう?」

「ああ。だが、これは難易度の問題だ。鬼門と裏鬼門の周辺には、特に鬼が多い。門からわいて出た奴らが他の妖獣を追い出して居着いているからな。それに対し、南部は鬼以外の妖獣が多い。攻め込むなら、まずは南だろう」


 法明と椿が話を進めていく。神楽達以外は、椿の説明にうなずいていた。ふと、神楽が手をあげて発言を求めると、気付いた椿が発言を促す。


「なんだ? ――それと、許可はいらないから、好きに発言しろ」

「わかった。次の鬼月まで、あとどのくらいなんだ?」

「ちょうど、あと三週間というところだな」


 質問の答えは、法明からだった。


「あと三週間のうちに、最低でも本州連絡大橋をおさえる必要がある、と……」

「そうだ。そこに至るまでに、今や妖獣共の巣窟となっている、中央の“富央城(ふおうじょう)”と南の“日城(にちじょう)”を奪還する必要がある」

「背後をつかれないためだな?」

「そうだ。だが、それだけではない。富央城と日城を奪還できれば、そこを起点に、西の“後城(ごじょう)”や東の室城(むろじょう)“にも攻め込みやすくなる」

「それに、城の近くには“神結晶(しんけっしょう)”があるからな」

「神結晶?」


 法明の発言で、また新たな単語が出てきた。神楽は首をかしげる。


「これです」


 神楽の問いに答えたのは、イワナガヒメだった。胸元から、薄青い石のついた首飾りを取り出して、神楽達に見せた。


――凄く、見覚えがありすぎる。


「これと同じ、だよな?」


 神楽は、自分の胸元から、“絆石”のついたネックレスを取り出してイワナガヒメ達に見せた。すると、場がざわついた。


「そ、それです! とても珍しく貴重なものなのですが、神楽様もお持ちなのですか!?」

「貴重って……うちの里じゃ、珍しくもないが……」


 驚くイワナガヒメ達と神楽達の温度差が凄い。


(マスカレイドもたくさん持ってたしなぁ)


 そう。里の一族以外でも、マスカレイドが“封印石”としてたくさん同じ石を持っていたので、そんなに希少なものだとは思わなかったのだ。


 

「神楽。まさか、他にも持っているのか?」

「ああ。皆に、<結界>を付与したやつを一つずつ。それに……蛟。お前が入ってたやつ、持ってるか?」

「その者に預けておる」

「うん。貴重品だからね、肌身離さずここに。青龍さんの分もね」


 椿に聞かれ、持っている分の確認を始めた。蛟に話を振られたエーリッヒが、やけに膨れた皮袋から、特大の絆石を二つ取り出して皆に見せた。



 場のざわつきが、騒乱レベルに激しくなった。



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