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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
【第一部】“エクスプローラー養成学校”編
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【第一部】第二十六章 まどろみの朝

――アレンの部屋――



――ちゅん……ちゅん……、ちち……


 窓の外から暖かな光が差し込み、小鳥のさえずりが聞こえてくる。


「う……、ん……」


 アレンが半ば無意識に寝返りを打つと、顔にとても気持ちのいい何かが当たる。とてもやわらかくて……あたたかい。思わず、顔をぐにぐにとうずめる。


「ふにゃん♪」


 なにか声が聞こえる……うずめた顔に何か少しかたい突起もあたっている。


「ふにゃにゃ……」


 うずめている何かがふにふにと動く。それもまた気持ちよく、そのまま眠り続けるが――


「むぅぅ~……、コハクちゃんばっかり、ず~る~い~!」


 ばふっと何かが背中に張り付いて来た。びっくりして思わずアレンは目を覚ました。


「――ん? なに? あ……」


 アレンが目を覚ますと、目の前は一面、キレイな肌色だった。とても柔らかいものが顔に押し付けられている。


 おそるおそる目線を上に上げると、見慣れぬ美少女の顔が――いや、昨日再会し、思い出した過去の記憶にある少女の顔があった。


 胸元に抱きかかえる様、少女の両腕でアレンの頭がロックされている。少女の顔はとても幸せそうだ。


「う……ん、……ふぁ~」


 目の前の少女も目を覚ます。上半身を起こしてバンザイし、伸びをしている。おかげで、さっきまで当たっていたやわらかいものが目の前で強調される。――思わずじっと見てしまう。


「あ、ご主人! おはようにゃ♪」


 少女がそう笑顔で俺に朝の挨拶をする。アレンも回らない頭で「おはよう……」と返すのだった。



「不覚だった。あまりにも気持ちよくて、まどろんでしまうとは……」


 もしこれをエリスに見られていたら、今頃俺はこの世にいないだろう。そう思えるくらい、俺はあの時、没頭してしまっていた。アレンは顔を洗いながら、少し前の出来事をそう振り返る。



「ご主人~! ごはんできたにゃよ~♪」

 

 顔を洗い終え、アレンは琥珀に呼ばれてダイニングテーブルに向かった。


 そこでは、琥珀がエプロンをつけ、フライパンで作った炒め物を皿によそいテーブルに持ってきてくれている。稲姫は椅子に座り、嬉しそうにしっぽをパタパタと振っていた。


 テーブルの上にはパンにスープ、サラダ、そして琥珀(コハク)が今持ってきてくれた肉と野菜の炒め物がある。ドリンクは、水、牛乳、お茶、コーヒーが選べるようになっていた。至れり尽くせりだ。


「「「いただきます!」」」


 3人で手を合わせ食事を始める。特に炒め物がおいしい。冷蔵庫に入れてた普通の食材なのに、作る人でこんなに変わるものなのか……どことなく懐かしい味でもあり、ふと、涙が出そうになる。


「とても美味しいよ」

「やっぱりコハクちゃんのお料理が一番でありんす!」


 アレンと稲姫が琥珀の料理をべた褒めする。



「にゃはは! 照れるにゃ~♪」


 まんざらでも無さそうに琥珀は笑い、アレン達は楽しい食事のひと時を過ごすのだった。


  

 今日は休日だった。昨日の襲撃の疲れもあったので、休みなのはありがたい。――でも、そうだな。


「なぁ稲姫。昨日、何か俺に話したそうじゃなかったか?」


 食事を終え、一服つき始めたころ、稲姫に話をふってみる。稲姫はビクンと反応し――



「昨日の襲撃者が何者か、わっちには予想がついてるでありんす……」


 稲姫は狐耳をしゅんとさせながら、俯いて(うつむいて)そう告げる。


「やっぱりそうだったか……よければ、聞かせてくれないか?」


 少し迷ったそぶりを見せた後、稲姫がうなずいた。

 

 このまま話を聞いてもよかったのだが、昨日巻き込んで迷惑をかけてしまったカールとエリスにも声をかけてみた。


 二人とも、二つ返事ですぐに部屋に来てくれた。足りない椅子はカールの部屋から拝借した。琥珀が皆にお茶とお茶請けを配ってくれ、聞く準備が整った。


「じゃあ、稲姫、聞かせてくれ」



――稲姫が、過去の出来事を語り始めた。

   


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