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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第五部 “和国・北洲の戦い”編①
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【第五部】第四十七章 自己紹介④

――留城・本丸・作戦会議室――


 椿達からの自己紹介だが、人数も多いので主だった面々のみの紹介が行われた。


 イワナガヒメやコノハナサクヤヒメとそのお付きの唯と彩乃。そして椿や法明は既に知っているので省かれた。よって、諸将のうち、主だった者達の紹介がなされた。中でも神楽の気を引いたのは――


「はじめまして。僕は、この留城の守備を椿様と共に任されている陰陽師の(マモル)と言います」

「衛はまだ若いが、その実力は確かだ」


 イワナガヒメと同い年くらい――十四くらいだろうか?――の少年だった。ニコニコと愛想がいい。城の守備を任されているのも凄いし、法明が太鼓判を押す程なら、その実力は確かなのだろう。


「そうなのか。よろしくな」

「はい!」


 神楽は衛と握手を交わす。思えば、神楽も里では神童として扱われていた。マスカレイドとの戦いでは、当時まだ十二だったのだ。


 年若くても、秀でているなら周りからあてにされる。


(――俺の場合は自ら戦に申し出たが、衛もそうなのだろうか? 笑っていられるのは、自信の表れか、はたまた精神的に強いのか……)


「衛は唯の弟でもある」


 椿の紹介で、イワナガヒメの侍女である唯が軽く会釈する。


「なるほど……兄妹揃って優秀なんだな」

「そんなこと――」

「神楽さんの方が凄いですよ!! 法明様との戦い、観てました!!」


 唯が軽く目を伏せて小さく答えかけたが、衛の元気な声がさえぎる。唯は、やれやれと言ったように苦笑いした。


「衛……まさか、神楽殿を応援していたのではないだろうな?」

「え? ダメでしたか? ――って、冗談です冗談!!」


 法明と衛のじゃれあいに、皆から笑いが起こる。衛は皆から慕われており、人徳もあるようだった。


(こりゃあ、大物になるかもな……)


 そんな風に神楽が衛を評していたところ――



「神楽さん。うちの彩乃だって凄いんですよ? 椿には及びませんが、剣術なら侍の中でも五本の指に入るでしょう」

「サクヤ様……少し反応に困ります」


 今まで大人しかったコノハナサクヤヒメがなぜか張り合ってきた。


「そうなのか。気が強いからな。そうだと思った」

「それは関係無いだろう!?」


 神楽が茶化すように言うと、やはりと言うか、彩乃がノッてくる。場が再び笑いに包まれた。


 神楽の視界の端では、コノハナサクヤヒメやイワナガヒメが楽しそうに笑っているのが見え、神楽としても安堵する。


(ちょっと無理してそうだったからな。これを機に、少しでもはりつめた気が楽になるといいんだが……)


 神楽は、法明との模擬戦後にコノハナサクヤヒメに言ってしまったことを気にしていた。


『あの……無理してないか?』


 コノハナサクヤヒメが無理して笑っているという違和感を感じた神楽が発した何気ない一言だ。


 だが、その後のコノハナサクヤヒメの様子はさらにおかしかった。神楽が琥珀達と談笑している隙に、彩乃と二人で去って行ったのには神楽も気付いていた。――それをイワナガヒメが心配そうに見ていたのも。



「さて……これでお互いの自己紹介も済みましたね。少しはお互いの気心が知れたでしょう?」


 一通りの自己紹介が済むと、イワナガヒメがまとめにかかる。


(ほんと……敵わないな。この姫様には)


 イワナガヒメは、皆のことを本当によく見ている。確かに、単なる自己紹介でしかないが、やる前と後では場の雰囲気がまるで違う。和国民達の神楽達に対する警戒の色はだいぶ薄れていた。


(これこそが、姫様の人徳なんだろうな……)


 椿達はいつものことだからか、慣れているようだ。当然のように受け入れている。


「では、お疲れのところすみませんが、続けて作戦会議に入りましょう。――椿。法明」

「はっ!」

「承知しました」


 イワナガヒメに指名され、侍軍大将の椿と陰陽師軍大将の法明が前に出る。



 ようやく、妖獣軍に対する作戦会議が始まるのだった。



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