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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第五部 “和国・北洲の戦い”編①
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【第五部】第四十六章 自己紹介③

――留城・本丸・作戦会議室――



「人々は儂のことを蛟と呼ぶ。縁あってこの神楽と(えにし)を結び、行動を共にしている」

「うちの一族では蛟のことは“水神様”と呼ぶことが多いけどな。まぁ、とにかく、仲間だ」


 蛟の簡潔な自己紹介を神楽がフォローする。先程までとはうってかわって、水を打ったような静寂が場を満たす。神楽には、皆が困惑していると感じられたのでさらにフォローに入ろうとするが、イワナガヒメや椿の方が早かった。


「蛟様は龍族の神獣で、とても強大な力をお持ちとのことです」

「強大な上位の鬼と互角以上に戦える者は限られている。非常に頼もしい戦力だ」


 蛟の参戦について二人が太鼓判を押したことで、今までとはうってかわり場がざわめき立つ。



「これは協力な助っ人じゃないか!?」

「ああ!! 今までは椿様や法明様ばかりにご負担をおかけし守備の薄くなった箇所を突かれていたが、龍が味方になるなら、本当にどうにかなるかもしれないぞ!?」

「だが、妖獣に頼るというのはな……」

「ならお前が代わりにできるのか?」

「それは言いっこなしだろ。お前だってできないだろ?」

「本当に、妖獣が味方に……? 裏切らないのか?」


 歓喜と苦渋、疑念。様々な感情が場にうずまく。だが、皆、どこか期待しているのは明白で、声音には明るさが宿っていた。


 騒がしくなった場を静めるため、パンパンと手がうちならされた。椿だった。



「皆、気持ちはわかるが落ち着け!」

「だが椿。これなら今まで取れなかった戦略も取れるな」


 堅物と皆から評されている法明も珍しく明るい声音だった。それ程、龍族の力の強大さは皆の知るところであり、味方になるというのは頼もしいことだった。椿の口元にも笑みが浮かんでいた。


「ああ! 奴らに一泡吹かせてやろう!!」


 静かにしろと言った椿が元気にそう言ったことで、騒がしかった皆から、怒号にも等しい大歓声が沸き起こった。


 イワナガヒメの目には、涙がたまっていた。皆に明るさが戻り嬉しいのかもしれない。唯がそっと涙をふくための布をイワナガヒメに差し出していた。


「蛟。期待されてるぞ? 頑張らないとな!」

「儂は病み上がりなんだがな……」

「無理はするなよ? マズいと思ったら退くんだぞ?」

「ああ。――状況次第ではあるが、もう捕まるのはこりごりだからな」


 自分から戦に巻き込んでおいて心配するのはおこがましいと思いつつも、神楽としては、蛟を頼もしく思うと同時に、心配してもいた。


(蛟に無茶な要求が来たら、俺が断らないとな……)


 神楽はそんな決心をしつつ、近くにいたクリスに声をかける。



「クリスも自己紹介しておくか?」

「いいよ、私は。――うちの組織がきっかけで苦しんでいる人達に、かけられる言葉なんて無いよ……」

「奴らに捕まって従わされてたんだろ?」

「それでも、だよ。和国ではしてないけど、中つ国では私も手を汚した。――死にたくなかったから。だから私には、皆に受け入れられる資格は無いの」


 クリスは困ったように笑う。

 

「真面目だなぁ」

「何よ? 悪い?」

「いや、そういうとこ好きだぞ?」

「何言ってんの!?」


 神楽のいきなりの発言に、顔を赤くし大声を上げるクリス。気付いた椿が振り返り、声をかけてくる。


「どうした?」

「なんでもない。これでうちの自己紹介は終わりだ。クリスは大勢の前での自己紹介が恥ずかしいらしい。勘弁してやってくれ」


 顔を赤くし、何か言いたそうに口をパクパクさせるクリスを横目に神楽がまとめにかかる。椿はちらっとクリスを見てから神楽に向き直るとうなずいた。


「そうか。無理にとは言わん。では、次はこちらの番だな」



 そして、椿達からの方からも、主だった面々の紹介がされるのだった。



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