表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第五部 “和国・北洲の戦い”編①
311/494

【第五部】第四十章 コノハナサクヤヒメ

――留城・三の丸・訓練場――



「とんでもない化物ね。姉様の見立ては正しかったってことかしら」

「………………」


 コノハナサクヤヒメと彩乃は、一般の観客からもさらに離れたところで、その戦いの一部始終を見ていた。


「これは、何としても繋ぎ止めておかないとね。――彩乃。あんたは絶対にアレを怒らせるんじゃないわよ?」

「……かしこまりました」

「それにしても……姉様、本気じゃない? まさか、本当に“好き”なんてことはないわよね?」

「……わかりかねます」


 彩乃の返答に不満げに鼻を鳴らすコノハナサクヤヒメは、つまらなそうに席を立つ。


(色仕掛けでもなんでもして、絶対に繋ぎ止めてこの国のために戦わせる。――わたしには、姉様のような力は無い。わたしには、これしか出来ないんだから……)


 そして、コノハナサクヤヒメは、彩乃を連れて勝負のついた訓練場の中央へと向かった。



「神楽様! 流石です!!」

「いやぁ~……まぁ、借り物の力だけどね」

「いや、たいしたものだ。――お前には驚かされてばかりだな……」

「興味深い力だ」


 椿が神楽の手を取り勝利宣言した後、興奮から頬を赤くし目を輝かせたイワナガヒメが走り寄ってきて、神楽の手を取り大はしゃぎだ。


 椿と法明も近寄ってきた。法明は負けを認めたのにアッサリしている。


(俺の実力が見たかっただけで、まだ実力を隠してるんだろうな……まぁ、当然か)


 そして、琥珀達もこちらに向かってきているが、別方向からも二人来る。


 コノハナサクヤヒメと彩乃だった。



「スゴいスゴい!! 君ってこんなに強かったんだね!!♪」


 コノハナサクヤヒメが神楽の方にパタパタと走り寄ってきた。あざといが、なかなか様になっている。


「ぁ…………」


 イワナガヒメは、少し残念そうに神楽の手を離した。入れ替わるように、コノハナサクヤヒメが神楽の手を握ってくる。


「仲間の力を借りてるだけだよ」

「そうだとしてもスゴいよ! そんなことできる人、他に知らないし!!」


 コノハナサクヤヒメは大興奮だ。でも――



「あの……無理してないか?」

「え…………?」


 これは、直前にイワナガヒメと同じようなやり取りをしたからこそ気付けた違和感だったのだろう。神楽は、コノハナサクヤヒメが“何か無理をしている”と感じたのだ。


「あ、えっと……ごめん。忘れてくれ。――お~い! こっちだ!!」


 コノハナサクヤヒメが笑顔のまま固まると、気まずくなった神楽は、近くにまでやってきていた琥珀達に手を振る。――自然にコノハナサクヤヒメの手を離しながら。


「ご主人!! また浮気にゃ!?」

「そろそろ真面目にお灸をすえるべきではないかえ? <蒼炎>ならいつでも出せるぞ?」

「わっちはもうあきらめたでありんすよ」

「……ダメ。あきらめちゃ。許すとどこまでも浮気する」

「ソフィアのことはいいの?」


 集まってきた女性陣がかしましい。皆、器量よしばかりだ。コノハナサクヤヒメから笑顔が消えた。


「サクヤ様……」

「帰るわよ」


 仲間に囲まれる神楽達に皆が気を取られている隙に、コノハナサクヤヒメはスッと距離を取る。あたかも、別のところでの用事を思い出したように、彩乃を連れてその場を後にした。



 イワナガヒメが、そんな自分の後ろ姿を心配そうに見つめていることには気付かずに。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ