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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第五部 “和国・北洲の戦い”編①
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【第五部】第三十七章 神楽VS法明②

――留城・三の丸・訓練場――



「姉さん」

「衛も来てたのね」

「うん。――どっちが勝つと思う?」

「もちろん法明様よ……と言いたいところだけど、わからないわ」

「見たの?」

「見てない。――だけど、椿様が認めているんだもの。彼は強いのよ」

「どんなだろうね? ワクワクするよ!」

「あんたねぇ……」


 留城三の丸にある訓練場は、多くの観衆でごった返している。その中には、普段イワナガヒメ付きの狩衣の少女――(ユイ)もいた。


 片時も姫様のお側を離れたくはないが、今は椿が姫様に付き添っている。その椿に、「お前もゆっくり見学するといい」と一時的に任を解かれ、少し離れた場所でこうして見学しているという訳だ。


 衛は唯の弟であり、陰陽師としての才は弟の方が頭何個分も抜きん出ている。はじめはそれがコンプレックスだったが、今は受け入れている。――というか、妖獣との戦争中で、常に命の危険にさらされていると、そんな劣等感を抱く余裕すらない。


――『死んでいった同胞達に恥じぬよう、出来る限りのことを精一杯する。姫様達だけは死んでも守る』


 それだけが、自分のすべきことだと割り切っている。今は、弟の才が頼もしく思えると同時に、弟が強敵に当てられるだろうことを懸念し心配はしているが……。


 その弟は、何が楽しいのか、ニコニコ笑顔だ。いつも弟は元気だった。“こんな時”なのに。


 その目線の先には、訓練場内中央――法明と向き合う銀髪の少年がいる。椿とイワナガヒメがルールの説明をしている今も、特に緊張した様子はない。


 皆が見守る中、戦いが始まろうとしていた。



「勝敗はどちらかが敗けを認めるか、戦闘不能になることで決する。戦い方に制限はつけないが、殺し合いが目的でもない。過剰だと判断したら私が止めに入る。いいな?」


 椿がそう言うと、法明と神楽がうなずく。


(ふむふむ……なら、さっさと大技を出すか? 力を見せればいいんだろ? ――だけど、陰陽師の力は確認しておきたい。まずは受けだな)


 法明は狩衣を着ており、椿達のように刀は腰に差していない。


(遠距離戦タイプか? ――だけど、ここは結界内で魔素の流れが乱れてる。“俺達以外で”まともに戦えるのか?)


 稲姫の<魔素操作>があれば、神楽はどうとでもなる。魔素が乱れているのであれば、整えて使うまでだ。だが、法明はどうだろう? 同じことができるのか? 興味は尽きない。


(まずはお手並み拝見……ってね)


 そして、ついに神楽VS法明戦の幕が切って落とされる。椿が声高に宣言した。



「では――――はじめっ!!」



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