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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
【第一部】“エクスプローラー養成学校”編
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【第一部】第二十四章 琥珀登場!

――校舎裏――



「稲っ、姫――!」


 アレンの差し伸ばした手が空をつかむ。


 仮面の女が笑みを浮かべながら歩き去ろうと後ろを向いた、ちょうどその時――



――何かが視認できない程の高速で飛来し、仮面の女が手に持つ石を粉々に粉砕した。


 そして()()は、着地と同時、仮面の女にまわし蹴りを放つ。女はまともに反応できず、直撃をくらってふっ飛んだ。


 盛大な音が鳴る。音の発生源を追うと、女が壁にめり込んでいた。女を中心に、亀裂がクモの巣状に走っている。


 ソレの蹴りの(すさ)まじさを物語っていた。


 アレンやカール、エリスと仮面の者達。この場の全員が思わず戦闘を中断し、その光景をただ眺めていた。


 ソレは、粉砕した石から出てきた稲姫を大事そうに抱きとめた。



()()()……ちゃん?」


 目を薄く開けた稲姫が()()の名を呼ぶ。


「遅くなってごめんにゃ」


 ソレ――コハクは稲姫の頭を優しくなで、そしてこちらに振り向き、笑顔で手を振ってくる。


「ご主人! お久しぶりにゃ!」



 コハクは、オレンジ色をしたボブカット髪の少女だった。形は違うけど、稲姫と同じように耳としっぽが生えている。どことなく猫っぽい。


 服は稲姫と同様、色鮮やかな着物を着ていた。ただし、袖丈(そでたけ)(すそ)は、動きやすいように短く整えられている。とても活発そうな子だ。


 アレンの頭の中に、失われたはずの記憶が蘇る(よみがえる)


『――琥珀。お前は生き残りを連れてここから脱出し、楓達を守ってやってくれ』


 そう“お願い”し、琥珀を死地から送り出した。その場にはもう一人、女の子がいた気がする。


 アレはいつのことだったか。


――と、今はそれよりも。


「ああ、久しぶりだな、琥珀。助かったよ」

「後はこいつらを片付ければいいにゃ?」


 稲姫を大事そうに地面に横たえると、周囲を見回し、仮面をつけた者達を睥睨(へいげい)する。


 仮面の者達が琥珀から発せられる威圧にビクリと身体を震わせるのがわかった。


「ああ、仮面をつけてる奴だけな。残りの二人は味方だから」


 アレンがそう言うと同時――


 琥珀が瞬間移動もかくやというスピードで肉薄し、仮面の者達をなぎ倒していく。


 誰も反応できず、ほぼ棒立ちのまま、殴り飛ばされ、蹴り飛ばされた。その度に、周囲のあちこちにめり込んで亀裂が走る。


 音が無くなるまで、十秒もかからなかった。



――轟音を聞きつけて人が集まってくるのは、それから間もなくだった。


 

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