【第五部】第二十三章 皆との合流
――和国・北州・北部海岸部――
「いや! よくないだろう!? どういうことか、きちんと説明しろ!!」
神楽達が琥珀との再会を喜んでいる中、水を差す椿。
(もう……意外と細かいなぁ)
「琥珀。どうしてここがわかった?」
「もちろん稲姫ちゃんの気配を感じたからにゃ! 昨日ここで消えた時は焦ったにゃ」
「だってさ」
「全然わからん!!」
って言われてもな。俺だってよくわからない。
「他の皆は無事か?」
「もうすぐ来ると思うにゃ。この近くで探してたから。――あ、来たにゃ!♪」
「今度は船だと!? ――まさか、騙したのか!?」
「いやだから全然!? 仲間を呼ぶって言ったじゃん!! ――あれ、言ったっけ?」
「――くっ! 流石に私だけでは……!!」
「はいはい落ち着いて! 戦わない! 戦わないから!!」
応援を呼びに走ろうとする椿を急ぎ背後から羽交い締めにする。
「――な!? どこを触っている!? 貴様っ!!」
「わ、わかったから落ち着いて!」
そんなひと悶着をしている間にも船が海岸に泊まり、仲間達が降りてきた。
◆
「……む。また女の人。心配してたのに」
「全く。気が多いな、お前は」
「君らしいけどね」
どうやって船を傾けずに泊めているのかはわからないが、とにかく無事に泊めてあり、そこから“青ノ翼”の三人――レイン、ラルフ、エーリッヒが船から降りてこちらに向かってきた。
レインなどは椿を羽交い締めにする神楽をジト目で見つめている。――どことなく頬も膨らんでいる気がする。
「我が君~~~……む?」
上空から神楽を発見し、いつものように真っ直ぐ滑空してくる青姫。だが、神楽が椿を羽交い締めにしているので空中で急停止する。
「我が君。覚悟はよかろうな?」
「よくねぇよ!?」
何故か両腕を上に掲げて<豪火球>を作り出そうとする。
だが――
「――む? 魔素が乱れておるな」
結界内であることが幸いした。青姫は違和感に戸惑い、いつもより小さな<豪火球>を不思議そうに眺めている。
「おのれ! やはり攻撃する気ではないか!?」
「違うから! ――違わないけど、違うからっ!!」
しばし遅れて現れる蛟が場をおさめるまで、神楽は椿を全力で抑え込み続けるのだった。




