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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第五部 “和国・北洲の戦い”編①
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【第五部】第二十二章 琥珀参上!

【翌朝】

――和国・北州・北部海岸部への道中――


 翌朝。給仕された朝食を取り、神楽はクリスを連れて外に出た。後には、椿が付いてきた。逃走防止と言うよりは、よそ者が余計なことをしないよう、念のための監視のようなものだろう。


「私も暇じゃないんだがな……」


 椿が小さく不満を漏らす。戦時中で戦の備えもあるだろうに、急がしい中巻き込んでしまったのを神楽は申し訳なく思う。


 だが、神楽の読みが正しければ“琥珀が突っ込んでくる”。城を壊したら申し訳ないし、『壊した分、働いていけ』と言われるかも――つまりはそれをきっかけに戦わされるかも――しれない。


 イワナガヒメはそんなことを言わないだろうが、周りは言いそうな気がする。なしくずしで戦うのだけは嫌だった。


「すぐ済むよ――たぶんな」

「そうか。なら手早くな」


 ふわぁと椿が口元を手で抑えてあくびをする。疲れているのに申し訳ないが、見晴らしのいい海岸に出た方が良さそうなので、もう少し我慢してもらう。


 やがて、目的地に着いた。


――和国・北州・北部海岸部――



「お前達が流れ着いた場所か。何をするんだ?」

「はぐれた仲間を呼ぶんだよ。――あ、今から稲姫を出すけど、絶対に攻撃するなよ? “()せ参じるだろう仲間にも”」

「? わかったわかった。早くしろ」


 椿が手をヒラヒラと振る。


(ほんとにわかってるんだろうな?)


 だが、疑っていても埒が明かないので、神楽は早速、自分の内側に意識を向ける。



(稲姫。いいよ?)

(ほ、ほんとに大丈夫でありんすか?)


 <憑依(ヒョウイ)>で神楽の内に宿る稲姫からは、不安そうな声が。『絶対に大丈夫!』とは言えないのが辛いところ。


(………………)

(そ、そこは勢いでも、『俺が守るから安心しろ!』って言って欲しいでありんすよ!!)


 稲姫が、似てない神楽の声マネをしつつ抗議してくる。


(俺が守るから安心しろ!!)

(ぜ、絶対でありんすよ……?)


 しぶしぶながら納得する稲姫。やがて、神楽の身体が黄金色の光に包まれ、稲姫が胸元から飛び出してきた。出てきた瞬間、急ぎ神楽の背中に隠れる。


 稲姫がおそれる当の椿はと言うと――


「どんな仕組みなんだ? ――いや、だから攻撃はしないとさっき言っただろう?」


 『昨日はいきなり殺しにかかったくせに』とは思えど口にはせず、神楽と稲姫は、ただジト目で椿を見つめるのだった。


 やがて――



「やっと見つけたにゃあ!!」

「――曲者(くせもの)っ!?」

「待て待て待てぇ~~~いっ!! ――だから、“馳せ参じるだろう仲間にも”って予防線を張っておいただろうが!?」


――琥珀参上!


 前みたいに、どこからともなく現れた。驚いた椿が刀の柄に手をかけるのを、神楽は慌てて押しとどめる。琥珀はご機嫌に稲姫を抱き締めている。


 琥珀の稲姫レーダーが機能したのだろう。前に気になって仕組みについて琥珀に尋ねてみたが、『よくわからないけど、稲姫ちゃんの居場所ならわかるにゃ♪』とだけ笑顔で答えていた。


 白虎や雷牙達が持つ“共感覚”みたいなものだろうか? なんで種族の違う稲姫が対象なのかはわからない。


(まぁ、琥珀だしな)


 大抵の疑問はそれで放り投げられる。



 ともかく、琥珀と合流できてよかった!



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