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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第五部 “和国・北洲の戦い”編①
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【第五部】第二十一章 葛藤

――留城・本丸・大広間――



『今日はもう休め。侍女が世話に来るだろう。足りない物があれば、遠慮無く言え』


 神楽とクリスを客間に案内した椿は、それだけ言うと立ち去った。


 重苦しい雰囲気の中、クリスと二人で夕食を食べ終え、別々に風呂を済まし、布団を並べて明かりを消した。


 クリスも別の布団で横になっている。疲れたのだろう。だが、神楽と同じで中々寝つけないようだ。寝息は立っていない。



 琥珀達は無事だろうか。<念話>が使えないため、連絡が取れない。


 そう言えば、再会してからいつも一緒だったなと思い返す。


 稲姫は神楽の中で休んでいるみたいだ。今は<憑依(ヒョウイ)>で神楽の中にいるが、気配でわかる。


 仲間達のことを考えると、胸が温かくなる。妖獣だろうと、神楽にしてみれば“家族”のようなものなのだ。


 だが――



(あの涙はズルいよ…………)


 イワナガヒメの涙が頭から離れない。神楽が稲姫達妖獣を家族として大事にするように、イワナガヒメにとっては、椿達皆が大事な“家族”なのだ。でなければ、あの涙は無かっただろう。


((ミズチ)……こんな時、お前だったら何て言うかな?)


 昔から、蛟は神楽に適切な助言をしてくれた。神楽の意思を尊重した上で、選べる最適な道を指し示してくれた。


 神楽は首を振る。本当は、わかっているのだ。蛟だけじゃない。琥珀や青姫、稲姫達がなんて言うかは。



『神楽のやりたいようにやれ。自分は、人間のではなく“()()()味方”だ』


(わかってる。わかってるんだ……。本当は。だからこれは、俺の覚悟が足りないだけだ)


――“人と妖獣の仲をとりもつ”という、“御使いの一族”としての誇りや覚悟。


――“困ってるイワナガヒメ達の力になりたい”という、神楽個人としての想い。


 相反する想いで、頭の中はグチャグチャだ。


 だが、どうするかを決めたとしても、仲間にそれを伝えるのは絶対だ。自分の想いを伝え、行動に責任を持つ。


 そのためにも、明日は何としても琥珀達と合流しなければいけない。だが、どうやって……。


 <念話>を使わずに居場所を伝える方法なんて……。琥珀なら、自分がどこにいようが、探せるような気も。そこまで考えたところで、神楽に“ひらめき”が降りる。


 思わず神楽は上半身を起こした。気付いたクリスが神楽の方を向き、声を掛けてくる。


「どうしたの?」

「あったんだ。皆――いや、琥珀に居場所を伝える方法が!」


 神楽は自身の胸元を手で抑える。



 ひらめきのヒントは、すぐそこにあった。



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