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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第五部 “和国・北洲の戦い”編①
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【第五部】第十七章 イワナガヒメとコノハナサクヤヒメ

――留城・本丸・大広間――


 姫様の言葉を皮切りに、場が進行する。


「まずは、お互いの自己紹介が必要ですね。名乗り遅れてごめんなさい。わたくしはイワナガ。そして、こちらは――」

「コノハナサクヤよ♪」


 姫様――イワナガヒメがうながすと、もう一人の派手な着物を着た少女がウインクしながらそう名乗った。


(――軽っ!? なんだ!? イワナガヒメと並んで座ってるってことは、偉いんだろうけど……)


 戸惑う神楽をイワナガヒメがじっと見つめる。すると、神楽の斜め前の椿がこほんと咳払いし、神楽にアピールする。


(――あ、あぁ。そういうことか。そうだな……)


「俺は神楽。航海中に海に投げ出された仲間を助けたはいいが、その後泳いできたら浜辺にいた。つまりは遭難(そうなん)者だ」

「私はクリス。その、海に投げ出されたカグラの……な、仲間」


 神楽が名乗るとクリスも続く。“仲間”と言うのがちょっと恥ずかしいのか、見ると顔を赤くしていた。


 そんな緊張感の無い神楽とクリスに椿がため息をつく。前――姫様達の方――を向いたまま告げる。


「イワナガヒメ様とコノハナサクヤヒメ様はご姉妹(しまい)で、お二人とも“現人神(アラヒトガミ)”であらせられる」



 いきなりの爆弾発言だった。神楽はポカンとする。現人神って、“人でありながら神”ってことだろ?


「そんな大層なものではありませんよ。少し、“特別な力”があるだけです。――あ、ちなみに、わたくしが姉です」

「妹で~す!♪」


 イワナガヒメとコノハナサクヤヒメは全然気負っていなさそうだ。コノハナサクヤヒメなどはニコニコしながら神楽に手を振っており、二人とも年相応――十四歳くらいだろうか。神楽は今年十六歳なので、少し年下だろう――の少女にしか見えない。


「あ、ぅん……」


 神楽がなんとかそれだけ返すと、ピリッとした視線が左右の両列から注がれる。


(――どう反応しろってんだよ!?)


 泣きたくなる。



「二人とも姉妹なのに、全然違うんですね?」


 場を繋ごうと必死に考えてそう話を切り出した神楽だが、急にイワナガヒメの表情が(くも)った。そして、イワナガヒメに続く列の者達から、強烈な殺気が神楽に浴びせられる。


(――は!? もうほんとに意味がわかんない!!)


 神楽は冷や汗をかきつつ、椿の方を見る。なんだかんだ、助けてくれていたので。だが――


下衆(げす)が…………」


 横目でにらまれ、そう(さげす)まれた。


――神楽はとうとうプッツンした。



「何なんだよさっきから!? 俺はただ、『イワナガヒメがおしとやかで、コノハナサクヤヒメが元気満々で、全然違うね?』って言いたかっただけだ!! そんなんで殺気を浴びせたり、暴言を浴びせる方がおかしいだろ!?」


 神楽が立ち上がり皆を見回しながらそう大声で苦情を言うと、場が『し~ん』と静まった。


 やがて――


 前の方から、(しの)び笑いが聞こえてきた。とうとう(こら)えきれなくなったのか、声を上げて笑い出す。見ると、コノハナサクヤヒメだった。


「あはは! 面白いね、君って♪ 物怖じしないし、わかりやすいし、わたしは好きだよ?♪」

「サ、サクヤ!」


 コノハナサクヤヒメがそう言うと、今度はそちらの列から強烈な殺気が……! イワナガヒメは(あせ)ったようにコノハナサクヤヒメを(とが)めている。


 そんな時、ごほんごほんと(せき)払いが続いた。――見ると、椿だ。


「は、話を戻しましょう。私達を取り巻く状況についてです」

「そ、そうでした! そうです! それをお話しましょう!♪」


 いつの間にか機嫌を直しているイワナガヒメが、笑顔で答える。



 そうして、ようやく本題に突入するのだった。



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