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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第四部 “世界の仕組み”編
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【第四部】第二十三章 戻った記憶

――“御使いの一族”隠れ里――


 (ミズチ)帰還による宴は、急な開催にも関わらず、里のほとんどの者が出席していた。里の守り神として蛟がどれ程敬われていたかがわかるというものだろう。


「さぁさぁ! もう一杯!!」

「ああ。――(わし)は一応、病み上がりなのだがな……」


 蛟は里のお偉いさん達に囲まれてお酒や(さかな)を次々に振る舞われていた。まだ本調子ではなさそうだが、たくさん食べて体力を取り戻して欲しいものだ。


 

 神楽は少し離れたところで、そんな風に蛟を見つめていた。こちらも病み上がり。取ってきた料理をチマチマと食べていたところ――


「神楽君だよね?」

「? ああ、そうだけど」


 同い年くらいの女の子達二人に話しかけられた。神楽が『そうだ』と答えただけなのに『キャアキャア♪』とかしましい。


「隣、いい?」

「どうぞ」


 ちょうど今神楽は一人だった。いつもなら妖獣三人娘や“青ノ翼”の面々と一緒にいるところだが、今は(かわや)に行った帰りに蛟を見つけ、ちょっと気になって一人見ていたところだった。


 女の子二人が神楽をはさむように両隣に座る。――なんか、スゴく距離が近くないか?


 両隣から漂ってくるいい匂いにドギマギする。神楽はモテるが、奥手なのだった。



「なんか、ワイルドになったね?」

「? そうかな?」

「髪、染めてるの?」


 矢継ぎ早に質問が来る。確かに今の神楽はこの里の皆のように着物は着ておらず、リムン国であつらえた一張羅を来ていた。


 向こうの流行りに乗りつつも機能性も両立した自慢の逸品だ。


 また、少女の言う通り、髪色は昔と変わっている。昔は、少女

達と同じ黒髪だったのだが、今は銀髪だ。


 これは染めてる訳ではなく、マスカレイド研究施設での人体実験による後遺症なのだが、それを言ってわざわざ空気を悪くする必要もないだろう。――なので、適当ににごすことにした。


「変かな?」

「ううん! そんなことないよ!」

「ね~! カッコいいよね!!♪」


 どうやら好評のようだ。しかし、どうしよう? この子達の名前が……いや、あれ、なんか浮かんできた。


「もしかして、“美月(みづき)”と“琴葉(ことは)”……?」

「そうだよ! 名前を呼んでくれないから忘れちゃってるのかと思ってた!!」

「よかった~♪ もう三年くらい経ってるからねぇ。みんなもだいぶ変わったよね」


 どうやら当たりだったようで神楽はホッと一息つく。二人とも元気だが、見た目は楚々としており、学び舎ではアイドル的存在だったことも思い出す。


 髪の長い方が美月で、お団子でまとめている方が琴葉だった。昔からよく二人でつるんでいたが、今もそうみたいで微笑ましいな。


 神楽の表情がふっとゆるむ。


「あっ! やっと笑った!!」

「え? そうかな?」

「そうだよ! 『誰だこいつら』みたいな顔で警戒してるんだもん! ショックだったよ!!」


 そんな顔は……してたかもな。自分じゃよくわからないけど。


 今までは記憶が戻らなかったから、あまり里の人と積極的にからもうとはしなかったしな。


 そういう意味では、痛い目にはあったけど、記憶が戻ったのはよかったなと思える。


「そう言えばさ。いつも一緒にいるあの子達――」

「ご主人。また浮気にゃ?」


 急に背後から話しかけられ、思わず飛び上がる神楽と少女達。


 振り替えると――



 鬼――いや、琥珀がいた。――なんか、闘気解放してる? オーラ的なのがみえるんだが。


「まったく! 寄り道せず早く帰ってくるにゃ!!」

「あ! えっと……」

「い、いいよ! ありがとね神楽君!」

「またね!」


 美月と琴葉に悪いと思いつつ神楽が二人を見ると、二人は空気を読んでか、少し残念そうにだが引き下がった。


 そうして神楽は琥珀に手を引かれていくのだった。


 神楽達が歩き去った後に残された美月と琴葉。美月がポツリともらす。


「相変わらず、モテモテみたいね」

「だ、だけどまだ結婚はしてないみたいだし!」



 二人はワイワイ言い合いながら宴の喧騒の中に戻って行くのだった。



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