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神の盟友  作者: 八重桜インコ愛好家
第四部 “世界の仕組み”編
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【第四部】第二十章 命からがらの起床

――“御使いの一族”隠れ里・春と楓の家――



「――んっ……って、はぁ!?」

「「「あっ」」」


 目が覚めた瞬間に身の危険を感じた。それもそのはず、キレた琥珀が拳を振りかぶっている。


 それをみんなが全力で止めてくれていた。だが、琥珀の力は凄まじいので、一部は振り払われて床に転がっている。



「ほら見るにゃ。起きたにゃ」

「たわけ!! 起きなければ叩き起こすつもり満々じゃったじゃろうが!?」


 なんて恐ろしい……。あと少し起きるのが遅かったら死んでいたかもしれないのか。


「主様ぁ!!」

「……あ、抜け駆け」


 稲姫が抱きついてきた。よしよしと頭をなでる。


「心配かけたみたいだな。――みんなも」

「そうにゃ! まったく! 知らない女にうつつを抜かして!!」

「我が君。後で話があるのじゃ」

「は、はい……」


 なんて恐ろしい仲間達だ! 病み上がりの病人をもっと労ってくれてもいいだろうに。


「アレン」

「あれ? ルーカス?」


 久しぶりに見る顔もいた。


「ルーカスさんのおかげで青龍を奪還できたんだよ」


 エーリッヒが状況を説明してくれる。よかった。無事に取り戻せたんだな。


「そうなんだ。流石だな」

「お前こそ、少し見ない間にずいぶん力をつけたみたいだな。――それに、仲間もこんなに」


 ルーカスが周りを見回して言う。自慢の仲間達だ。誇らしい。


「神楽。お腹減ってない? ご飯あるわよ」

「おっ。ここ家だったのか。食べるよ」


 笑顔の春に呼ばれ、ご飯を食べることに。皆で食堂に向かった。


――食堂――



「うまい! おかわり!!」

「あらあら。急に食べ過ぎると身体に悪いわよ?」

「お兄ちゃん、何かいいことあった?」


 ごはんがうまくて箸が進む進む。春は嬉しそうにごはんのおかわりをよそってくれている。楓はなぜか不審げに神楽を見ていた。


「ん? 別に?」

「……ふ~ん」


 全然信じてない目だが、気にしない気にしない。


「いい夢でも見てたんじゃない?」


 ニコニコ顔の春がそう言うと、場が一瞬にして凍った。


(――――え? 何!?)



「ご主人~……。“ソフィア”って誰にゃ?」


 あ、なんか琥珀が笑顔のまま怒ってる。


「え? なんで琥珀が知ってるんだ?」

「我が君が寝言で何度も呼んでたからじゃ!!」


 あ、なんか青姫も機嫌が悪い。気になって周りを見ると、稲姫は隣でニコニコ機嫌よくごはんを食べていた。他のみんなは興味津々にこちらを見ている。


――まぁ、隠すことでもないしな。


「前に言ったろ? 俺の探してた子だよ」

「金髪の子かにゃ?」

「そうそう」

「我が君とはどういう関係じゃ?」

「命の恩人」

「……今はどこにいるの?」

「別世界」


 質問の嵐だった。レインの質問に答えた後、微妙な沈黙が場を満たす。


「別世界って……アレン。お前、まだきちんと起きてないだろ?」


 ルーカスが、やれやれという風にため息をついている。


――失敬な。


「世界は一つじゃない。“門”の先にも世界がある。――まぁ、俺もさっき知ったんだけどな」


 知ってることをそのまま伝えたんだが――


 皆、全然信じていなかった。うさんくさいものを見る目全開だ。――まぁ、自分もあの世界に行かなかったら信じなかっただろうし、気持ちはわかる。


「まぁ、いきなり言われてもわからないよな。そんなことより、――おかわり!」

「はいはい」


 ニコニコ顔の春にお茶碗を渡す。今は飯だ飯!


 そんな時――



「こ、この里に朱雀さんが近付いてくるわ! 朱雀さんだけじゃない!! 朱雀さんと同じくらい強大な力を持った存在が他にも複数!!」

「ほんとかサンクエラ!?」


 サンクエラとルーヴィアルが急にあたふたし始めた。他の皆もどよめく。


「ど、どうするんだ? ――ってか、誰だ?」

「わからないな。朱雀さんのお仲間とか?」

「……白虎とか?」


 ラルフ、エーリッヒ、レインの会話の通りだろう。朱雀レベルの強大な存在なんて限られてる。


 一応、念のため――



(朱雀。神楽だけど、今、こっちに向かって来てる?)

(おお! 目覚めたか!! うむ。青龍と白虎を連れて其方に会いに行くところじゃ。間もなく着く)

(そうだったか。青龍も無事解放されたんだな。よかった!)


 <念話>で朱雀に繋ぐと、思った通りの答えだった。青龍もいるらしい。初めて会うからどんなか楽しみだな。


「今確認を取った。朱雀、青龍、白虎が向かって来てるらしい。俺に会いに来るみたいだ。サンクエラ、<結界>を解いてくれ」

「ええ。わかったわ」


 サンクエラが結界を解くと、しばらくして家の外が騒がしくなった。


「来たか」



 神楽を先頭に、朱雀達を皆で出迎えに行くのだった。



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